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2005年6月28日(火)

家のなかに誰かいる! 

今年も夏がやってきた。

僕らがどんなときに「夏」を感じるかというと、いわゆる「わけのわからない人」とか「信じられない」という類の人に出会ってしまったときなのだ。

ガイドの山小屋は地上2階地下1階のいわゆる3階建の建物だが、店舗は1階だけで、プライベートな空間とは厳密に仕切られている。しかしながら、それがいともカンタンに突破されてしまうのだ。

プライベートを仕切る「立入禁止」札のついたドアを開けられて中を覗かれるくらい 日常茶飯事だ。昨年のことだが、僕がゴロゴロしていたところ、どこかのチビッコに仕切りドアのひとつを開けられた。そのお母さんはしっかり一緒に中を覗き込んだので、目が合ってしまった。一瞬の出来事だ。

また、5年ほど前になるが、住込のスタッフの女の子(当時は住込スタッフが6名いた)が早起きして洗面所で顔を洗っていたところ、背後に見慣れない男性が立ったという。彼女は恐怖を感じて助けを求めてきたのだ。 その侵入者は近所のライダーハウスに宿泊する観光客で朝ンコをするためにわざわざ清潔なガイドの山小屋のトイレを求めてやってきた。早朝6時、彼は あたかも自分の家に入っていくように勝手に入ってきたのだ。

店舗用ではない、家庭用トイレに知らない人がいることもある。なぜか「大」であることが多いようで、後ろめたいのか、すれ違いざま僕が「あ、どうも」とか声をかけても、そそくさと逃げるように仕切り扉の向こうに去っていくのだ。そういう場合、決まってトイレに入ると強烈な残り香にヤラレてしまう。

昨日も、閉店後にも関わらず玄関が開かれて中に人が入ってきた。閉店後は知り合いが遊びに来ることも多いので鍵はあけていることが多いのだが、そういう隙を突かれる。人によっては「閉店」「CLOSED」というプレートをかけていても全然関係ないようで、閉店後も入ってくる人はけっこういるものだ。昨日のその人はCLOSEDの札の3連発を完全に無視してドアをあけて入ってきた。 気づいた妻が必死に押し留めたらしいが、まあそんなことは毎週1、2回は必ずあることだ。すごい人になると早朝にやってきて呼び鈴をひつこく鳴らし ドアをすごい勢いでガシャガシャ!「いるんでしょ?開けなさいよ!」と叫ぶ。年に1人くらいは必ずいる。 もちろん営業時間であれば冷やかしでも誰でも歓迎だが、閉店後や早朝だけはカンベンしてほしい。

きょうも、プライベートな空間に誰かが立ち入った形跡があった。ほんの30分前には誰もいなかった部屋に電気が煌々と灯っていたのだ。しかも3ヶ所!もちろん僕の仕業ではない。 せめて電気くらい消せよな。

このように、我が家では片時も玄関の出入りには気が抜けない。もちろん勝手口も勝手にされてはたまらない。倉庫にもしょっちゅう人が入ってくる。

あ〜、今年も夏がきたなぁ、と、思う。

こんな話がある。あるアイヌ集落で、民家に旅行者が勝手にあがりこんでくることが問題になった。地方によっては今でもアイヌの人たちが多く居住する地区がある。もちろん普通の公営集合住宅なのだが、そこに旅行者のなかの一部のファンキーな人たちが勝手に玄関から住宅に入っていくのだ 。もちろん住人は期待されるような民族チックな生活ではなく、いわゆる普通の日常生活をしている。

普通に生活していたら、たとえばある日の昼下がり茶の間でテレビを見ていたら、うっかりカギをかけ忘れた玄関か、または風を通すために開け放していた勝手口から誰かがドカドカ入ってくる。咄嗟のことで何もできずにあっ気に取られている住人をよそに家の中をひとしきり見回したうえで、「なんだ、普通じゃないか」と悪態をつきながらドカドカ帰っていくのだという。しかし、悲しいことにその侵入者に抗議でもしようものなら、とんでもない仕返しをされてしまうから我慢するしかないのだという。「逆切れ」は世代を超えて今や定番になった。

同じような出来事はいわゆる全国の美観地区と呼ばれる観光地では珍しくないらしい。美しい日本庭園のある民家や外観が保存対象になっている家などは被害に遭うことも多く苦労が耐えないだろう。

まったく困ったものだ。


2005年6月27日(月)

自転車でGo! 修学旅行のお仕事

連日連続して4本の修学旅行の受注があり、それらがようやく一段落した。修学旅行はなぜか全国的にほとんど同じ時期に集中するので、たてつづけに入ってしまうのだ。同じ時間に2校同時進行なんてこともある。先週はまさに「アウトドア戦争」のような日々だった。アウトドアは楽しいが、戦争となると穏やかではない。なにしろ1回の人数が半端ではないから緊張が並大抵ではないのだ。リスク要因満載の冬プログラムも緊張の連続だが、修学旅行は消耗するエネルギーが比べようがない。

しかしながら、多忙ではありながらも、この仕事は楽しい。参加者が無邪気であればあるほど、ヤルほうはヤリ甲斐があるというものだ。

4本の修学旅行のなかに「十勝岳MTBダウンヒル」があった。この「ダウンヒル」は一般プログラムでは10年もやってきた伝統のメニューなのだが、修学旅行で実施するのは今年が始めて。まずMTBの台数確保が問題だった。ガイドの山小屋が所有する約30台のMTBでは足りないから、あっちこっちから借りてこなくてはいけない。それも整備が十分なものを集めなければならないのだ。なにしろ標高1000mから一気に下るからブレーキの効きが悪くては洒落にならない。これが第一の関門だった。

入念な準備の日々を経て「その日」がやってきた。先頭を僕が誘導し、スピードと時間を調整する。最終尾を救急箱を積んだサポート車が危険表示点滅灯(ハザードランプ)を点滅させながら車列をカバーする。僕のMTBは買ったばかりのハイテクノロジーMTBだ。この日の僕はナイキのキャップにサングラスをかけて、なかなかキマってる。

MTBにまたがった。天気は上々。さあ行こう!

走り始めてまもなく、十勝連峰にかかっていた雲が途切れて一気に眺望が広がった。

「すげ〜よ!」「やべぇ〜〜!」

参加者の高校生たちの歓声が響き渡る。予想以上の好反応だ。数十人分のヨロコビのどよめきが背中にダイレクトに響いてきて、迂闊にもちょっと胸が熱くなった。これだよコレ。僕もはじめて北海道にやってきたとき、君たちのように感動したんだ。ほんとはそう言いたかった。うまく言えないのが残念だけど。

約2時間のプログラムは興奮とどよめきのなかで大好評のうちに終了した。先生も生徒さんたちも大満足の笑顔で帰っていった。このうちの何人かはきっと、大学生になったら一人旅で北海道にやってくるだろう。そしたらまた会えるかもしれない。

ガイド歴10年の僕のガイドトークもこの瞬間を待ってました!とばかりに炸裂して、なかなか楽しい2時間があっという間に過ぎ去った。別れを惜しみながら彼らの乗ったバスを見送った。心地いい充足感があった。

そのときふと、同行していた妻がボソッと言ったのだ。

「インストラクターっぽくてなかなかカッコよかったんやけど、ちょっと太すぎるんよねぇ…。せめてあとふたまわり細かったら、きっと皆のあこがれのお兄さんやったのにねぇ…。」

だってさ。

「そやけど、あのMTBはいかにもガイド仕様ゆうカンジでよかったやろ?」

「まあねぇ…。」

この日が事実上の新MTBのフィールドデビューだったが、ママチャリが20台も買えるような高額なMTBを買ったことについて、妻との間はしばらくギクシャクしていたのだけど、これでようやく納得してもらえる雰囲気ができたことは何よりの収穫だといえる。

ただ、冬山で受傷した右足が悪化した。再びビッコだ。リハビリ中だというのに、いきなりフル回転したせいらしい。これから病院に行くのだ。あ〜あ…。


2005年6月19日(日)

町内会の行事 美馬牛の草刈り

今朝は朝から草刈りだ。午前5時、町内の全戸から一斉にエンジン草刈り機のエンジン音が唸りをあげる。エンジン草刈り機の動力はスクーターのエンジンとほとんど同じ仕組みなので、動き始めるとけっこう賑やかなものだ。

今朝も午前5時に町内が一斉に目を覚ました。あっちでウィィィ〜ン、こっちでもビィィィィ〜ン、あっちこちでガリガリガリ!バリバリバリ!草を刈っている。

いきなり戦争が始まったような騒ぎなのだ。

僕は作業用ジーンズにデニムのワーカーズエプロンをつけ、アーミーカラーの帽子、ゴーグル着用でこの戦いに臨む。さらに花粉症なので深々とマスクをつけた。今の時期、イネ科の雑草を刈り取るとおびただしい花粉が散乱してヒドイことになるのだ。マスク をしないときの僕は鼻水と涙で顔がドロドロに溶解してしまう。その様は妖怪人間そのものだから、人間であり続けるためにはマスクは欠かせない。

参加者はほとんどの方が前日までに自宅周辺の草刈りを済ませているので、それぞれ移動しながら高齢者の自宅周辺や橋、空き地の周囲などを刈っていく。やがて、おのおの集合場所にあつまってくる。こうしてみると美馬牛には結構たくさん人が住んでいるものだ。手に手に鎌や竹ぼうき、エンジン草刈り機などを持って ゾクゾクと集結してくる。それぞれ挨拶を交わす。全員が顔を合わす機会は滅多にないので、こういうときにご近所同士を確認しあうのだ。

午前5時に始まった草刈り、美馬牛住民の人海戦術で、ものの30分で終わってしまった。班長の一声で解散する。ちなみにここに集まった美馬牛駅の駅裏班。昨年の班長は僕だった。この駅裏班は農家だけではなく、旭川に通勤するサラリーマンや職人、公務員、また写真家やペンション民宿の経営者など多種多様で、それぞれの出身地も北海道のみならず本州からの移住組も多い。住民はなかなかバラエティ豊かだ。

草刈りの終わった町内はすっきりさわやかになった。刈ったばかりの草の香りが心地いい。

せっかくの早起きだったにも関わらず6時前にはヒマになってしまったから、ついでにJR美馬牛駅の草刈りをする。ホーム周辺や駅裏の小道とその周辺など、丁寧に刈っていく。草を刈るとメントールのような香りがしていい感じだ。こうしていると、 駅のプラットホームはコンクリートよりも若草のほうがいい。なんだか美馬牛らしくていい。草は伸びてくるが、また刈ればいいのだ。

草刈りをすませた美馬牛駅は涼やかで、なんともいえない趣がある。風のようなさわやか青年や、野の花のような女性に降り立ってもらいたい。そう思った。


2005年6月17日(金)

自転車でGo! 花いっぱい美瑛

来週はサイクリングやらトレッキングやら修学旅行の仕事が3本も入っている。そのうちサイクリングが段取り通りになるかどうかを実際に走ってみようと思い立つ。きょうは天気もいいから即、実行だ。

6月のすばらしいお天気。ぽっかり浮かぶ真っ白な雲、抜けるような青空。こんなお天気に車に乗るのはかったるいので、そのままママチャリで出かけた。

野生のスズラン おすすめサイクリング道(美馬牛)にて

美馬牛から1時間足らずで「パッチワークの路」の真ん中にある「北西の丘展望公園」に着く。ここを中心にぐるりとコースを周回する。このあたりはいわゆる“俗化されちゃった観光地”で、人も車も多いので僕はあまり好きではないのだけど、この時期はまだバスもレンタカー も少なくて快適だ。交通さえ静かであれば自転車にはピッタリなんだけど、現実は・・・。

「親子の木」のあたり ヒャッホーな台湾からの旅人たち

パッチワークのコースの下見のあと、三愛の丘コースの下見に向けてエッサエッサと自転車を漕ぐ。街を抜け、緑色の橋を渡る。見慣れた景色にも関わらず、旅人の目線で景色が飛び込んでくる。みんな、いい思いをしてるんだなあと思う。やっぱり自転車が気持ちいい。車では気付かないことばかりだ。

車に乗っていると道端や草地に揺れている野の花は目に入らない。草の香りに気付かず、牛の鳴き声も水の流れる音も、車内には聞こえてこない。

美瑛の北域を「パッチワークの路」と呼び、美馬牛側を「パノラマロード」と称することが今ではスタンダードになっている。その「パッチワークの路」から移動してきて思った。パノラマロードの周辺はなんと花が多いことか。野生のスズランはじめ、名も知らない清楚な花が道端でつつましく揺れている。

水沢ダムには湖水がたっぷり湛えられて、残雪の大雪山が湖面に映っていた。湖畔のシラカバ林がなんだかメルヘンチックに見えてしまい、僕はひとりで勝手に恥じらいだ。30過ぎた男がママチャリにまたがってメルヘンチックな風景に見とれるなど、恥ずかしくて人に見せられたものではないのだ。


2005年6月16日(木)

ツツジが知らせる季節

十勝岳の登山口「望岳台」に登っていく道の途中の眺望はいつ見てもすばらしい。十勝岳連峰のみならず、それに連なる大雪山の黄金ケ原からトムラウシ山へと続く峰々、そして旭岳がでーんと鎮座している。雪渓の純白が美しい。

きょうのようなお天気の日には、ここをMTBで駆け下りていくのが気持ちがいい。真っ青な空に飛び出していくような気分になるだろう。

いまの季節、この山麓を彩る花がある。山ツツジだ。本州、四国、九州でもGW前後に標高1000m未満の山奥でこの花を見ることができる。夏山シーズンを告げる花として親しまれている。また、渓流釣りの好きな僕にとっては魚がいちばん旨くなる知らせだった。冬の名残を残す季節のイワナやアマゴ(ヤマメ)は痩せているが、この季節になるとムチムチして釣り応え十分、食べても美味しい。大自然の恵みを最も感じる季節だ。

きょうの望岳台の山ツツジ 山麓を鮮やかに彩る

北海道ではその季節が1ヶ月ほど遅くに訪れる。北でも南でも山ツツジは山菜や渓流の魚など、自然からの恵みがそろそろ美味しくなったよ〜ということを知らせる便りのようなものなのだ。


2005年6月15日(水)

山菜と花と

夕方、中途半端なバッテリー残量のレンタル電動自転車で散歩に出かけた。バッテリーはカラにしてから充電したほうが長持ちするから、僕はときどきバッテリーを空にするために出かけることがある。もちろん充電器にはそういう機能があるのだが、かったるいのでいっそ散歩に行ってしまうのだ。また、整備だけではなく実際に走ってみなければわからないこともあるから、趣味と実益をかねた夕方のチャリ散歩は重要な日課なのだ。

美馬牛のいいところは何といっても、走り出して2分そこそこで一気に観光開発されていないナマの眺望が広がるところだろう。お天気がいいから残雪を戴いたトムラウシ山と十勝連峰がどど〜んと迫ってくる。山の雪解けは急ピッチで進み、雪渓はみるみる痩せ細ってしまった。今年の雪解けは2、3週間も遅れたが、このぶんだと7月には例年並みに追いつくのではないだろうかと思う。

富良野岳の姿が美しい。花の種類の多い山だ。見たところ、高山植物のお花畑の見頃はおそらく7月20日前後といったところだろうか。

今年は怪我の後遺症のこともあり山岳ガイド業務を休止しているのだが、こうして山を眺めているとやはり無性に行きたくなってしまう。おお、いかんいかん。今年は身近な自然を楽しむのだ。我慢しなければ。

それにしても道路沿いの植物がバラエティに富んでいることといったら比類ない。スズランに似たラン科のアマドコロがたくさんの白い花をぶらさげて群生している。ざっと30株〜40株はあるだろうか。毎朝毎夕に下の娘の保育園の送り迎えのために車で通っている道なのだが、車では全く気が付かなかったことだ。注目されればたちまち掘り返されるだろうから、黙っていよう。

ラン科アマドコロ 葉の下に花が鈴なり

ウドの若芽も多い。ウドとはお馴染み山菜のウド。タラの芽と並んで称される山菜界のプリンスだ。それがいくらでも生えている。天麩羅もおいしいがゴマ油で炒めてもおいしい。キンピラもいい。味醂と醤油と胡麻、それから唐辛子でピリ辛に仕上げる。少し苦味があるが、その苦味でご飯がご飯がすすむ君。

ワラビも至るところに生えている。僕はあまりワラビを食べないが、北海道の人はワラビが大好きだ。あちこちで道路脇のワラビを採っている老若男女の姿を見かける。初夏の風物詩だ。

タラの芽や山わさびもたくさん見かけるが、ちょっと伸びすぎていて食べ頃を越えてしまったようだ。セリもたくさんある。味噌汁のいい具になる。フキも瑞々しくて食べ頃だ。

ウドの茎 セロリに似る

美瑛は景色もいいのだが、道沿いの何でもない草むらでさえ、いろんな草花があり、また食える道草にあふれているというところが、これまた魅力なのだ。

道草を食うだけで、幸せいっぱい腹いっぱい。こんな素晴らしい土地はなかなかないと思うのだ。

調子にのって走り回っていたら、バッテリーが完全にカラになってしまった。バッテリー切れの電動自転車はミジメだ。やたらと重たいママチャリ。まあ、自転車に幼稚園くらいの子供を乗せたカンジくらいのものだ。

こうなってしまっては仕方ない。最後の急勾配の坂は自力で這い登った。右足は怪我の後遺症があるので健康な左足でンガンガとペダルを回した。ハァハァゼイゼイ、意地になって一切自転車から降りずに漕ぎぬいた。オレってカッコイイって、ちょっと思ったね。きょうのプチ自己満足。


2005年6月14日(火)

安宿考 (3)古宿

みんな旅をするときの宿さがしはどうしているのだろう?あらかじめインターネットで調べたり、または情報誌を買う人もいるだろう。方法は人それぞれだ。

最初は僕もそうしていたのだが、最近20年ぶりに再デビューした自転車旅では、途中からそれがうまくいかなくなってしまった。特に長期間の旅になると、半ばで計画が空中分解してしまうのだ。1日の走行距離などは天気や体調、道路状況でも大きく変わる。気に入ったところでは長く滞在したいと思うし、逆にさっさと立ち去りたいことだってある。だから計画は無意味になってしまう。

結局、僕らは行き当たりばっ旅をすることになる。

夕刻になると宿を探すという昔ながらの宿場スタイルがいちばん合っているような気がする。夕刻、その町の観光案内所や市役所観光課を探し出して、その町の宿を紹介してもらうのだ。予算や条件など希望を伝えれば大抵はいい宿を紹介してもらえる。この方法では今のところ失敗したことがない。

ただし、JRの駅にある案内所は不親切な傾向があるから期待しないほうがいい。 応対するオッサンやオバハンは色々聞かれるのが嫌で嫌で面倒臭くて仕方ないと顔に書いてあり、つい役人根性という言葉もよぎる。それに対して本当に役人である市役所や町の役場あるいは郵便局はどこも非常に親切だ。ただし 夕方早くには閉まってしまうから注意が必要だけど。

安い旅館や民宿は、インターネットではあまり見つからない。ところが行ったその町で探せば1泊3000円くらいからけっこう簡単に見つかる。僕はベッドで寝るビジネスホテル(ちょっと高い割に高確率でハズレる)よりも畳の部屋でゴロゴロできる民宿や旅館を好むから、あまり宿探しには苦労しない。安い宿探しにはユースホステルという手もあるが、最近、本州のユースホステルは なぜか平日にあまり人を泊めたがらないし、また粗略に扱われてミジメな思いをすることも多くなった。しかしながら安い旅館は同じくらいの値段でありながら歓迎され、あれこれ世話を焼いてくれるし、部屋はもちろん個室なのだ。安い宿は多くの場合施設が古いことが多いものだが、それを割引いて考えても嬉しいと感じることのほうが多い。古宿は安くて居心地がいいものなのだ。

新潟県村上市で泊まった古宿は黒光りする板間の長い廊下を猫が歩いていた。おまけに廊下の突き当たりにはでで〜んと戦国武将の鎧兜が飾ってあった。夜中に出くわしたら怖いんじゃあないだろうか。

青森県碇ケ関村で泊まった古宿の中庭には見事な深紅に紅葉した手入れのいいモミジがあって夜になるとライトアップされた。廊下は行灯のゆるゆるした明かりが灯されて幻想的だった。

また、あるときは出発する間際におしゃべり好きな宿の親爺さんに捕まり、自宅に招かれて延々の自慢話に辟易とした。このときは「必殺自慢返し」で相手がひるんだ隙に脱出した。自慢するひとは逆に「自慢される」ことを最も嫌うから、そこを突いたのだ。窮した末のどさくさ作戦勝ちだ。

さあ、みなさんも奮って古宿を探そう!

きっと面白いことが見つかるに違いない。


2005年6月11日(土)

6月の雨降りとレンタルMTBの整備

この週末は航空バーゲン運賃が実施されていて、きっとたくさんの旅行者が美瑛を訪れるだろう。北海道の6月はさわやかな美しい季節だから、気持ちよく楽しんでもらいたいと思う。

ところが、だ。

本来ならばお天気が続くはずの6月。雨は滅多に降らないはずなのに・・・。きょうは曇り空。おまけに夕方からはドシャ降りの雨になってしまったのだ。

明日の天気予報は、ただ一言「雨」。なんてこった!せっかく爽やかな6月の北海道を楽しみにやってきた人々の思いをメチャメチャにしやがって!

さらにいいたい。久しぶりに忙しい週末になると思い、僕も妻も臨戦態勢を取っていたのだ。

肩の力が一気に抜けた。雨が恨めしい。

仕方がないからガレージに閉じこもりカタカタカタと静かにレンタルMTBの整備に精を出している。それはそれで結構楽しい。見た目以上に、ものすごく痛んでいるから、整備のし甲斐があるというものだ。退屈はしない。

僕は何事もあまり見た目を気にしない。例えば車やバイク。ワックスなどやらないし、スリ傷も放ったらかしにする。しかし、エンジンや足回りの整備は完璧に行う。エンジンオイルは必ず年2回交換するしタイヤも溝の有無に関わらず2〜3年で交換する。定期点検にはお金も惜しまない。痛んだものはさっさと交換する。そのおかげで僕の持ち物は大抵は長い間使える。ざっと見まわしても10年15年くらいは当たり前。ただ、見た目はあまり良くないかもしれない。

ガイドの山小屋のレンタルMTB。前後フルサスペンションの新型車は人気があり喜ばれる。でも、しっかり整備しているのは、実は旧型車両だったりする。特に整備直後のものは新型よりもかえって調子がいい。

ただ、使う人がそのことに気付いてくれないことが残念だ。お客さんはほとんどの場合見た目重視で、新型車に当たらなかったことに悔しさを滲ませる方もいる。でも実は、新型車両はほとんど整備なんかしていない。見た目がいいから苦情などないのだ。

ま、そういうものらしい。

というわけで明日もガレージでカタカタカタと静かに整備に励むのだ。百戦練磨の旧型車両はあっちこっちすぐ傷むから、整備がとても追いつきそうもない。


2005年6月10日(金)

自転車の季節4 新MTBに乗ってみたのです

いよいよきのう納車されたMTBに初乗り。敏感に新MTBの匂いを嗅ぎつけた隣町に住むSさんがやってきたので、つい、触発されたのだ。SさんはもちろんMTBでやってきた。額にいい汗をかいている。ちょっと羨ましい。

ガイドの山小屋で少し休息をとり、これから来た道を引き返すSさんと一緒に、我が家の裏にある丘の一本道を走ってみた。砂利道だけど丘の畑の風景のなかを走る1本の眺めのいい道。骨折の怪我をして以来、ちゃんと自転車に乗るのは初めてなので緊張しているみたいだ。車体が軽く、すべるように走るのだが、肝心のボク自身はというと、「えっちらおっちら・・・おっとっと!」っていうカンジにしか乗れない。なんだか悔しいぞ。さらにはゆるい登り坂だというのに力を込めると受傷箇所に鋭い痛みが走った。土台になる骨が悲鳴をあげている。やはりまだ早かったか?

それでも久しぶりの風切る感じはなんともいえない快感だ。新しい自転車が嬉しいというより、あの怪我から140日、ふたたびMTBに乗れたことにちょっと感動してしまった。まだ怖ごわという乗り方だが、秋までにはビュンビュンと走りたい。いや、絶対に走るのだ。

ここからは富良野岳の眺めが素晴らしい。立ち止まってしばしナルシストのポーズ。山に向かい合ってひとりカムバック宣言だ。

「うお〜〜〜」オレは叫びたいね。

もちろん恥ずかしいから叫ばなかったけど。


2005年6月9日(木)

自転車の季節3 我が家に新MTBがやってきた

きょうMTBが納車された。ゲイリーフィッシャーというメーカーのベーシックなMTBだ。基本構造がしっかりしているので先代のGIANTと同じくらい長い付き合いができそうな気がする。ガイドの山小屋のレンタルMTBには早々にフルサスペンション仕様を導入していたのだが、自分のMTBということになると慎重になってしまい、今回初めてサスペンション付の自転車を得た。それでもつい守りに入ってしまって、フロント(前輪) だけサスペンション付ということに留まった。

前輪のサスペンション 衝撃を吸収する

というのも、後輪にサスペンションをつけると長距離ツーリングに欠かせないサイドバッグが取り付けられないのだ。また、山中を走る場合には非常に素晴らしい機能になるサスペンションの柔らかな働きが、長距離を走る際は労力の微妙なロスにつながる。どうやら本来、長距離は何もないほうが都合がいいらしい。

後輪のサスペンション バイクみたいだ

自転車も使う目的によっては選ぶ機能が大幅にかわってくるようだ。旭川にある専門ショップ「クランカー」の店主の話などを聞きながらいろいろ勉強になった。大雪山を一望する場所に立地するこの「クランカー」 だが、北海道旅のチャリダーのなかにはお世話になったことがある人も多いだろう。店主との話の流れのなかで昨年秋田で会った日本1周中の学生の話が飛び出したときには驚いた。彼はこの店で長旅に痛んだ愛車を直してもらったようだ。人は思わぬところで共通の知人と行き会うものらしい。こういう偶然はとても楽しくて、おかげで一気にこの店で買う気になったというものだ。

僕のMTBは長距離旅に使うために形状や機能など、いろんなところを変更した。ハンドルを短く詰めたり形状にも大きく変更を加えた。長時間や向かい風でも楽なポジションをとりやすいようハンドルの形に配慮したのだ。また、ブレーキは雨にも強いディスクに変更し、スプロケットは1日の走行距離を伸ばせるよう大きなものに変えた。タイヤも舗装用に替えた。これではもう山中は走れないからマウンテンバイクの名は返上しなければならない。そう、純粋に旅チャリなのだ。

雨に強いディスクブレーキ

改造費用だけで5万円を超えた

もう早く乗りたくてウズウズしている。でも、これを買ったことは妻には内緒なので、いまだに車に積んだままにしている。私的に多額な貯金を引き出したことがバレたら家庭内には嵐が巻き起こるだろう。それが恐ろしい・・・。

夏の間、業務としてレンタサイクル店をしているおかげで、車にMTBが1台乗っていても全然不思議はないので、妻は僕の浪費に気付いてはいない。よく似たレンタル用MTBがあるから黙っていたら気付かれないかもしれない。妻は経理には明るいが機械類には極めて弱い。

初めて10万円以上する自転車を買った 

ゲイリーフィッシャー「フクイク」

自転車だけならば「古いMTBを改造したんやで。すごいやろ〜」と言っても、きっとバレないと思う。それくらい妻は機械音痴なのだ。しかし、 日商簿記2級などいくつもの資格をもち大手電機メーカーなどで長年経理畑を勤めてきた妻のことだ。貯金の引き出しだけはどうにも隠しようがない。いつか妻の機嫌がいいタイミングを見計らって告白するつもりだ。でも、やっぱり怖い・・・。

ガイドの山小屋は戦争前夜だ。

※「かくしよう」を変換したら、「核使用」がでた。ギクッ。悪い予感がする。


2005年6月8日(水)

暑い暑い 気温30℃

きょうは暑い。

北海道の6月はさわやかだ。晴れた日がつづき、空気は乾燥し、風はおだやかだ。乾期といっていいだろうか。

それにともない、気温があがってきた。少しまえまでは、「暖かくていいなあ!」なんて思っていたというのに、ここ数日はそれを通り越して暑いと感じるようになってきた。店は窓を開け放して、場合によっては扇風機を使うこともある。まもなくエアコンを使う季節になるだろう。

いままでは多くの場合、気温25度前後。それがきょう、ついに30℃に達してしまった。レンタサイクルのお客さんは、ハァハァゼィゼィ言いながら帰ってくる。観光しながらエアロビ効果が抜群。ただ、日焼けには注意しなければ。

ここ美馬牛からは十勝連峰の眺望が素晴らしい。まだ真っ白な雪に覆われてはいるのだが、日に日に雪渓がやせ細っていくのが見た目にもよくわかる。

ダイエット広告も真っ青だ。あやかりたい。

十勝岳の望岳台近くにある横断道路沿いの吹き溜まり(風により積雪が溜まりやすい地形)の雪の切通しは1週間前まで3mの高さがあったが、突然に夏になっちゃったから積雪減少が著しい。いまでは2mくらいだろうか。

このあたりではいま、食べ頃のフキノトウがたくさん採れる。山で採れるフキノトウは苦味がゆるやかで香りがさわやかだ。

MTBのついでに採ってこよう。フキ味噌を作るのだ。


2005年6月6日(月)

夏のひと

さわやかな季節だ。花が咲き乱れていて、風も心地よい。6月は1年でいちばん爽やかな快適な季節だ。

この季節になると必ずやってくるお客さんがいる。本州出身、旭川在住の女性でKさん。いつも平日の10時すぎの列車でやってくる。

きょう、久しぶりにKさんがやってきた。昨年秋の紅葉のころ以来、半年ぶりだ。きょうは11時前後のノロッコ号でやってきた。美馬牛駅で列車を降りてから、まっすぐこちらへ向かって歩いてきた。長い髪をひっつめて後ろに束ね、背筋をピンと伸ばしてさっそうと歩いてくる。背が高くて姿勢がいいから、ウォーキング姿が実にかっこいい。遠目にもすぐに彼女だとわかった。

少年のような涼やかなKさんがやってくると、「ああ、今年も夏がやってきたんだなあ」と感じる。これからもちょくちょく、お天気の日には自転車に乗りにやってくるのだろう。さわやかな彼女の雰囲気にピッタリだ。

車や大型観光バスで混雑する「パッチワークの路」とちがって美馬牛周辺は静かでいい。有名観光地になる前の美瑛の雰囲気をよく残している。休日をのんびり過ごすには最適なのだと思う。

Kさんを見て妻もフロントに出てきた。「いやあ、どうもどうも。」「暑いですね。」久しぶりに会った知り合いのような挨拶をかわす。昨年は赤ん坊だった下の娘をみて「あ〜ら大きくなったわねえ!」などと言っている。まるで友人のような和んだ雰囲気がある。僕らはいつの間にかKさんに仲のいい友人のような対応をするようになっている。気さくな人なのだ。

冬には冬のひとがいて、夏には夏のひとがいる。その人が来ると、「ああ今年も・・・」と季節を感じるものなのだ。

気さくな友人のようなお客さんが来ると、それからしばらくはなんとなく楽しい気分になるから不思議だ。

※ノロッコ号…JR北海道が運行する開放型トロッコ車両の季節列車。眺望のいい区間はゆっくり走ることから人気がある。予約なし普通乗車券で乗車することができる


2005年6月5日(日)

−ふき− 北の春を食おうではないか

「北海道の蕗は大きいですね。食べられるのですか?」と、よく聞かれる。なるほど、北海道の蕗は大きい。冗談ではなく本気で雨傘の代用になる。あまりに大きいから、食用に適しているのか疑問に思うのは当然だろう。

北海道大好きな旅人だったころ、大きな蕗が珍しくてはしゃいだものだ。色褪せた古い写真には廃線と思われる北海道内のどこかの線路のうえを雨傘がわりの蕗をかざして歩いている20歳くらいの僕が写っているものがあった。今となっては恥ずかしい写真だ。

もちろんこの蕗、食べられる。道産子であれば「何を今さら」と呆れるところだろうが、旅で訪れる人にはけっこう知られていないものなのだ。

食べるのは茎がまだ青くて瑞々しい、膝くらいの長さのもの。いちばん美味しく食べられる大きさだ。湿り気の多いところに生えているものが柔らかくておいしい。乾いた道端に生える茎に赤みがあるものは硬い。

昨夜は寒かったので夕食は鍋にした。土鍋にたっぷりのダシをはり、白菜のかわりにキャベツ4分の1切れとモヤシ、それから主役には鶏モモ肉。冷蔵庫の残り物をあつめた「鶏鍋」だ。いちおう鍋らしくはなったが、でも何か寂しい。

めぼしい食いものを探して敷地内の原野をうろうろする。こうしていると何か食べられるものが見つかるものだ。ふと、そういえば敷地内には至るところにおびただしい数の蕗が生えていることに思い当たった。フキは大量に生えている。草刈りのときには邪魔になるので刈り取ってしまうくらいなのだ。そういう存在はかえって、「食える」ということを忘れてしまいがちだ。

台所の窓の下に生えているフキの大群落のなかから柔らかそうな10本ばかりを選んで工作ハサミで摘み、すぱっと葉を落とし、その場でつつーっと筋を剥いだ。10分もかからない。

大鍋に湯を沸かして10センチくらいに切りそろえた蕗を放つ。たちまちいい香りの湯気が広がる。さっと茹でたら冷水にさらす。これだけでいい。あとはグツグツ煮えている「鶏鍋」に投入するだけだ。

5分も茹でれば蕗はダシを吸い、とてもうまくなる。だし汁にも蕗のいい香りが溶け込んでさらにおいしくなる。夕食の鍋は「鶏鍋」ではなく「フキ鍋」になった。妻も娘も、1歳の娘までもが「おいしい、おいしい」と大喜びで食べた。お肉よりも人気があったから一躍主役になっちゃったわけだ。夕食が終わるころには鍋は空っぽになった。

今ごろのフキは1年でいちばんおいしい。しかもタダなのだ。

やっぱり北海道はすばらしい。


2005年6月4日(土)

北国の車事情 ガソリンかディーゼルか

これまでずっとディーゼル車に乗ってきたのだが、理由は単純でトータルに考えて経済性が非常にいいからだった。ところが最近、そうでもないのだ。ご存知のように石油の値段が高騰しているのだが、理由はそれだけではない。

北海道においてディーゼルは非常に実用的だ。燃料が安く、低温に強く、また長い年月の風雪に耐え長距離の使用に耐える耐久性が地域の実情に合っている。ガソリンエンジンは10万キロも走ればそろそろ役目御免になるところだが、ディーゼルは30万キロが一段落。広くて走行距離が伸びる北海道ではディーゼルは生活に必要なものであったといっていいだろう。

ところが、最近はそうもいえなくなってきたのだ。

ガソリンエンジンの性能が向上して燃費が大幅に上昇した。燃料の価格差を埋めて余りあるほどの勢いだ。また欧州車ほどではないにせよ国産車もエンジン自体の耐久性が増した。トヨタやニッサンは10万キロくらいでは壊れない。

それから何といっても石油高騰と、軽油ガソリンの価格差の縮小が大きい。

私事で恐縮だが、ガイドの山小屋のデータがある。   2005年6月現在

 1ℓあたりの燃費            (カッコ内は単価)  (カッコ内は高速道路)

   ディーゼル(たくさん乗れる箱型ワゴン) 1ℓ(100円)あたり  7km(8km)

   ガソリン (ステーションワゴン乗用車)  1ℓ(120円)あたり  10km(12km)

 100円あたりの走行距離

   ディーゼル 7km

   ガソリン  8.3km

なんと15%以上もガソリンがお得、経済的なのだ。上記データはもうひとつ燃費の良くない僕のステーションワゴンのものだが高性能な国産の中小型車のなかには1ℓあたり20kmという驚きの燃費を誇る車が出てきたから、これから先はもっともっと格差が広がるだろう。ちなみに1ℓあたり20kmを走るガソリン乗用車とディーゼル車の経済性格差は2.4倍にも跳ね上がる。

とりあえずの節約のために最近はできるだけ自家用の乗用車(ガソリン)や一人のときはオートバイを使うようにしている。「ガイドの山小屋」と看板書きしたツアー車は駐車場で休んでいることが多くなった。

少し寂しい気がする。


2005年6月3日(金)

自転車の季節2 買ったぞMTB

MTBの購入契約を済ませた。すっかりその気になってきた。自分の右足が全治8ヶ月のうち半分しか過ぎていないことなんか、ほとんど頭から抜けてしまったようだ。

「よっしゃ〜、ヤッたるで〜。」

ヤル気なのはいいが、きょうの僕はかなりカルイ。

僕が通う旭川リハビリテーション病院ではいま理学療法士さん(リハビリ指導を行う専門職)たちの間で自転車がブームになっている。僕もそれに乗っかった形になった。専門ショップ「クランカー」もここで紹介してもらったのだ。

きょう再び店を訪れてわかったのだが、どうやらテレマークスキー仲間の多くがここのお客さんらしいと知った。やっぱりみんな考えることが同じなのだ。もちろんテレマークスキーしかやらない人もいるが、テレマーカーにはMTBを楽しむ人が多いようだ。またくカヤックを楽しむ人もいるし両方という人も多い。

バックカントリーテレマークスキーとMTB、またカヌーやカヤック。コンセプトは極めて似ている。共通するのはクロスカントリーだ。(cross-country 道を選ばず原野・山野・森林を進むというニュアンスに使われる 。スキーなど競技に限定しない。)

言うまでも無く北海道は、そういう遊びが好きなものにとっては天国のような場所だ。天国というか、怖いくらいだ。熊もいるし油断すると里山でも遭難してしまう。なんというすばらしいフィールドだろう。

命がけで遊ぶのだ。ヒュ〜ヒュ〜♪

身近の環境までもが大自然に至近している北海道だが、そういえばガイドの山小屋の敷地を朝晩によく野生のエゾリスが横切っていく。日常のことなのでもうすっかり慣れてしまったから最近は何とも思わなくなったのだが、よく考えてみたら、なんという素晴らしい環境なのだろう。こんな場所は北海道以外には考えられない。

やっぱり好きだなぁ、北海道。最高だよ。


2005年6月2日(木)

自転車の季節 買うぞMTB

ますますいいお天気が続いている。 空は真っ青、空気はカラカラだ。全治8ヶ月の右足は受傷から4ヶ月を過ぎて短い距離ならば杖なしで歩けるまでに回復した。担当医はまだスポーツをしてはいけないというが、何しろこの天気なのだ。もう限界だ。リハビリでエアロバイクを漕いでいるんだから、自転車ならばそろそろいいだろうと勝手に決めた。

1ヶ月の間、悩みに悩んだ末にやっと購入する自転車をきめた。左写真のゲイリーフィッシャーというメーカーのMTBで、見た目も内容もいたってベーシックなMTBだ。特にカッコイイとかすごいシステムを搭載しているわけではないが、基本構造がしっかりしていて軽量で、採用されている部品のクオリティが高いことが決め手になった。職人が作ったMTB、という印象をもったのだ。こいつをベースにしてブレーキやクランクなどを自分好みに入れ替えて、長距離旅に適したMTBに仕上げようと思った。

昨秋に引退したMTBは14年間を共に走った。14年とはいわないが、やっぱり長く共に走りたいと思うから丈夫なものが欲しい。いくら安く買っても旅先でトラブルを起こしては、かえって高くついてしまうし、それが海外であったなら途方に暮れてしまうだろう。細部のクオリティを優先するとどうしても高くなってしまうけど、少々値段が高くても質実剛健に適うものであれば構わないと思う。しかし値段のことは妻には言い出せないでいる。ママチャリならば20台以上買えてしまうのだ。計画がバレないよう明日までPCに近づけさせない作戦を練らなければならない。 こうして台所作戦が発動された。夕方、僕が台所に立った。

晩飯にはホッケを焼いた。台所には山のような洗い物とスイカの残骸を残しておいた。これで今夜の妻はPCに近づくことができないだろう。でもかわりに妻のヒステリーをかわす方策を考えなければならない。

それはそれで問題だ。

よし、次はチョコレート作戦でいこう。妻のヒステリーにはチョコがいちばんの特効薬。効き目は絶大なものがある。明治のFran重ねカカオがあるぞ〜。

「勝てる。」

いよいよ明日MTBを契約する。リハビリに通院する病院の近くに「クランカー」というショップがあり、感じのいい職人気質の店主がいる。数日前のことだが 、ブラリと現れた見ず知らずの冷やかし客であった僕に、かれこれ1時間以上も仕事の手をとめていろんなことを教えてくれた。その誠実さに、そこで買うことメンテナンスをお任せすることを決めたのだ。

まったく、6月の北海道はいい季節だ。この天気、この日差し、新緑の匂い、風の心地よさ。さっそく残雪の十勝岳をダウンヒルするのだ。ああ最高じゃあないか。たまんないぜ、ちくしょう。

おまけにすっかりその気になって次のMTB旅のことばかり考えている。 旅のプランづくりもまた楽しい。


2005年6月1日(水)

下草焼き

いいお天気が続いている。つい最近まで寒い春だなあと思っていたが、ようやく春らしくなってきた。乾いた空気と、いかにも草花が喜んで咲きそうなポカポカ陽気。北海道はこれから7月中旬まで、本州が梅雨明けするくらいまでの間、湿度が低くて降水量の少ない、1年で最もさわやかな季節に突入する。

きょう、地面がよく乾いていて風も弱いようなので敷地内の下草焼きをすることにした。昨年秋に立ち枯れた雑草や草刈り機で刈り取った草が雪の下で越年して、いまも残っている。枯れ捨てられた雑草をそのままにしておくのは見た目が悪いし、それに焼けば生え揃ってきた雑草の若芽の勢いを幾分衰えさせることができる。そのまま放っておくと雑草は2m近くまで生い茂るのだ。

調子よく野焼きを始めた。空気が乾燥しているのでよく燃える。ちろちろちろと、だらだら下草が焼けていくのだ。ついでに小枝なんかも燃えていく。燃えたあとは雑草が焼けただれて勢いが削がれていく。草刈りよりもずっと効率がいい。何といってもラクなのだ。

ただ、気がかりがある。いまガイドの山小屋の敷地内にはエンレイソウやエンゴサクがそこここに咲き乱れているのだ。こいつまで焼けてしまうことにはちょっと抵抗があった。同じ野のものだから贔屓はいけないのだが、やっぱり・・・。

エンレイソウに火が近づいた。思わず駆け寄って、炎を長靴で踏み消した。

エンゴサクに火が近づいた。迷わず駆け寄って、炎を踏み消した。

スズランに似たアマドコロに火が近づいた。ツボミが並んでいる。焼けてなるものか!昨年食いすぎたから今年は株が少ないのだ。(若芽が食用。アマドコロという名のとおり甘くて美味。マヨネーズに合う。ラン科の植物の多くが有毒だが、アマドコロは例外)

ヨモギの群落に火が近づいた。こんどは黙って燃えるのを眺めていた。ヨモギは用途も多い草だが、ちょっと元気がよすぎる。北海道のヨモギは背丈が150センチくらいになってしまうのだ。しかも大きくなると茎が非常に固く、ガソリンエンジンの草刈り機でも手こずってしまうほどなのだ。

燃えろ燃えろ〜〜。ヒュ〜ヒュ〜♪

オレって嫌なやつだな。


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