ガイド日誌
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2006年2月28日(火) きょうの三段山 祝、月間MVPパウダースノー
天候:くもり時々晴れ、時々にわか雪 〈十勝岳の噴火活動〉 ??
天気はまずまず。降水確率も低い。ときどき雪雲が切れて晴れ間がのぞく。冷たい西の風が入っているため晴天は望めないが、それでも空模様は悪くない。 それにしても特筆すべきはきょうの雪質だろう。なんというか、例えようがない最高品質のパウダースノーなのだ。癖がなく緩斜面でもなめらかに滑らせてくれる。もちろんそれなりの斜面であれば生唾モノ。 富良野岳の登山口であるバーデン前には車が1台もない。三段山も同じようなもので、おそらく入山者は一ケタと思われる。 なんということだろう!?きょうはシーズン中、1、2位を争う激パウだというのに、入山者がいない。富良野岳など、ゼロだろう。みなきっと、昨日までの低気圧の影響でヤマの状況は大変なことになっていて、しばらく休ませなければいけないと考えたのだと思う。 ところが、昨夜から今朝にかけて軽い羽毛のような雪がたっぷり積もった。よく締まった雪のうえに積もった羽毛のようなパウダー。シャッ、シャッ・・・。滑走面にエッジに、雪の感触が伝わる。どんなワックスよりも素晴らしい。 先週の木曜日、同じく先週の土曜日と、思いのほか素晴らしい雪質に出会ってきたが、先週土曜日が最高かと思いきや、きょうの雪はさらに上をいった。 筆舌に尽くしがたいとは、このことを言う。説明のしようがない。 今週末の雪質はどうだろうか?この調子で質を保ってくれるだろうか?そうあってもらいたい。 しかし、雪質はたった一晩で変わってしまう。パウダーに当たるか、それとも外れるか、もう祈るしかない。 明日から3月。これから雪質は加速度的にどんどん落ちていく。おそらくこの週末は最後の真冬らしいパウダースノーに出会える可能性が高いと思われる。来週以降は、3月名物の腐れ雪に苦しむことになるだろうか。 ま、毎年のことだから仕方がないけど。 2006年2月27日(月) なぜなぜ2月の大雨 暴風雨、のち暴風雪 昨日から今朝にかけて、夜どおし雨が降り続いた。強い風をともない屋根を叩く雨の音が家の中に響くくらいだから、雨は結構な勢いだったらしい。 今朝、目覚めると雨は雪にかわっていたけれど、雪はかなりとけていた。 暴風は1日中続いた。きょうのツアーには5人もの申し込みがあったのに、あえなく中止。とても残念。なんとかやってみるか?と、悩んではみたものの、きょうは5人中4人が女性だったから悪天候での強行は思いとどまる。それぞれに中止を伝える電話をかけるのだが、毎度のことながら残念でならない。 男ばかりだったなら実施したかもしれない。男塾とか何とか言って闘志を燃やすのだ。吹雪に真正面から立ち向かう俺たちってカッコイイ!みたいな。 夕方には強い風は落ち着いたけれど昨日から今朝にかけての大雨のせいで融雪が進み、駐車場がぬかるんでタイヘンなので除雪を行った。駐車場を覆っていた圧雪は昨夜の雨ですっかり柔らかくなっていたから、機械を使って除雪をしたらほとんどの雪が駐車場から取り除かれて土が見え始めた。4ヶ月ぶりの土の色。 山はまだまだ真冬だけど、町や畑から雪が消えるのは、今年は意外と早いのかもしれない。 明日のツアーは4人。メンバー構成は看護士と大学生で、平均年齢は20代前半、みんなスポーツ好きの明るい人たちだ。天気予報では雪だというけれど、天気図は決して悪くはないように思う。今夜もいい雪がサラサラと降っている。気温−8℃。羽毛のように軽い雪。あしたは期待できそうだ。 2006年2月26日(日) きょうの三段山 爆弾低気圧に押し戻され・・・、撤退。(白金温泉〜美瑛岳山麓)
天候:暴風雪、のち雨 〈十勝岳の噴火活動〉 ??
んん?朝の天気はなんとなく、まずまず。でも天気図が凄いことになっていることもあり白銀荘に電話してみた。電話口には職員のNさんが出られて親切に目の前の状況を詳しく実況してくれた。とても山には入れそうにないという。お礼をいって電話を切り、きょうは悪天候に強いコースで実施することに決めた。 空は高曇り、薄っすらだけど日差しもある。十勝連峰も全山が見えている。ただし、山頂付近には傘の形をしたいやらしい雲が載っている。爆風の筋らしきものも見えている。きょうは荒れそうだ。 標高660m、白金温泉から入山。美瑛岳の山麓を目指す。ところが、ここも急に風がでてきた。静寂をもとめて原生林に入るが、風はますます荒れ狂い、木々を揺らす。頭上からは容赦なく枝に厚く積もった雪の塊がバラバラに崩れながら降り注ぐ。逃げ惑う僕たち。まるで戦場のようだ。 原生林さえもこの爆風を吸収することは難しいようだ。出発から約1時間後、目の前でエゾマツの太い枝が大きな音をたてて雪の塊とともに落下して地響きをたてた。周辺至るところが阿鼻叫喚の様相。山全体が怒り狂っている。 あえなく撤退をきめた。いや、逃げ出したというほうが正しいだろう。 鬼気迫るバックカントリー。こんな日に雪崩講習をしたらきっと身につくだろう。 昼食時、僕らは美馬牛のカフェ・ゴーシュにいた。みんなで絶品のローストビーフサンドイッチを食べる。やっぱりウマイ!ヤマを逃げ出してきてよかった〜。 それにしても食後に出された珈琲、カレハシモサカだか、カモシカナントカとかいうややこしい名の珈琲だったけど、豆の香りがふくよかで美味しかった。コーヒー豆なんだけど、新鮮な豆に共通するいい香りがして、ふっと収穫したばかりのソラ豆の塩茹を思い出した。田舎に住んでいた子供のころ母が作ってくれた初夏の味と、いま目の前にある珈琲が重なるという不思議な感覚。 僕はおいしいものを食べると風景や情景が思い浮かぶことがあるんだけど、みなさんはいかがですか? 2006年2月25日(土) きょうの三段山 快晴の前十勝、今月でいちばん良い雪
天候:快晴 〈十勝岳の噴火活動〉 おとなしい
参った。快晴ではないか。天気予報の嘘つき。チクショー! こんな日は十勝岳でしょう!とボクのなかで遊び虫がうずく。いても立ってもいられず、前十勝に向かう。薄っすらと新雪が積もっていて、これが羽毛のように軽い。いちおう20センチくらいのラッセルなんだけど、軽すぎてラッセルのような気がしない。早く十勝岳の雪原がみたくて駆け出しそうになるのを抑えながらせっせと歩く。うっかりすると後ろに10名が続いていることを忘れてしまいそうになる。 予想通りの絶好のコンディション。チャレンジコースはカバワラから稜線に乗り前十勝のピークを目指していく。一般コースは正面から十勝岳をじわじわ登っていく。容赦なく降り注ぐ日差しをいっぱいに浴びながら春を感じてシアワセだ。 きょうのコンディション、例えるならばゴールデンウィークの天気と気温に真冬なみの雪質を組み合わせたようなもの。雪原の状態は、朝一番の圧雪が入るまえのパウダー状態のゲレンデ。これが十勝岳の斜面いっぱいに続いている。いやはや。笑ってしまうではないか。 これ以上のコンディションはそう簡単には得られない。 白銀荘の前では上川支庁主催の雪崩講習会が開かれていた。朝、僕らが出発するころには始まっていたし、1日ツアーから帰ってきたらまだ続いていた。それにしても、なにもこんな日に雪崩講習をするなんて。参加者がちょっぴり気の毒に感じる。それにシーズンはすでに終盤、ちょっと遅すぎないかな?1月上旬くらいまでにやるのがベターじゃないだろうか? それでも参加者は真剣そのもの。今年はともかく来シーズンに役立つだろう。 2006年2月24日(金) やっぱり春? いい天気の金曜日、気温は0℃前後なのだけど日差しが降り注いで実際以上に暖かく感じる。手袋をしなくても平気だし、Tシャツのうえに薄手のフリースを1枚着るだけで十分。ウィンドブレーカーのような保温性ゼロのアノラックを着用すると、歩くだけでも薄っすらと汗をかくくらいだ。 春が近づいてきたな、と感じる。 雪はいったん表面が解けて再び凍って出来たアイスバーンのうえに、羽毛のような軽い新雪がのっている。これがとても気持ちのいい雪原を創っていて、歩いても良し、滑っても良し。冬のようにズブズブと埋もれないから、長靴でも歩けてしまうのではないだろうか。 気が付けば来週は早くも3月ではないか。冬と呼べるのは、あと1ヶ月しかない。そうと解ると何だか焦ってきた。もっと遊ばなければ! 2006年2月23日(木) きょうの三段山 帰ってきた冬、そして予想外の良い雪
天候:くもり時々雪 〈十勝岳の噴火活動〉 おとなしい
昨夜まで小雨が降り続いていたので天気が心配だったが、朝までに雨はあがった。さらに薄日も差し始める。3日続いた気持ちの悪い暖気もすっかり解消されて氷点下の朝を迎える。やっと冬がかえってきた。なかなか悪くない。 暖気で解けた雪と雨とみぞれが凍ったせいで表面はカチカチに凍っているのではないかと心配していたが、ナニナニそんな心配は無用だった。そうして出来たバーンのうえにはすでにカタクリ粉のような新雪が15センチほど積もっている。これが滑りやすいことこのうえない。 ただ、崖尾根を越える2本松の登りだけは斜面がカチカチでエッジが抜けるのでスキーを脱ぎツボ足で登る。北アからやってきた助っ人Nさんが身長180センチ、ブーツサイズ29センチから繰り出されるパワフルなキックで固い斜面にがしがしステップを切ってくれるので僕はすっかりラクをさせてもらった。 みんな笑いながら林間の斜面を滑る。森を歩き、また滑る。雪には癖がなく緩斜面でもよく滑る。ステップソールだということを忘れそうなくらい滑りがいい。きょうはワックスを分厚く塗ってきたので、それも良かったのかもしれない。 ツアー途中からサングラスが曇りはじめて時々視界が悪くなる。拭いても拭いてもすぐに曇る。まあいいやと放っておいたら何でもないところでギャップに足をすくわれて派手に前転してしまった。ま、それもご愛嬌。 吹上温泉からの帰り際になって晴れ間が広がった。あと3時間早かったら、もっと楽しかったのに! 2006年2月22日(水) 春? 昨夜は氷点下にならなかった。雪解けは進み、道路はもちろんアスファルトが現われた。ガイドの山小屋でさえも駐車場の端っこのほうでは砂利が見え始めた。昨夜、暖房の効いた家のなかが暑すぎて僕は自室の窓をあけて寝た。 航空バーゲンフェアの週末がおわり、きょうは久しぶりにツアーが休みになったので午前中は駐車場の除雪などを行う。いやいや雪が積もったのではない。解けはじめた雪をそのままにしていたら駐車場はドロドロのズブズブ地獄になてしまうのだ。駐車場全体を厚く覆う雪は今まで圧雪されて固い舗装のようになっていたのだけど暖気のために柔らかくなりユルくなったので、これを排雪するのだ。そのままにしておくと、ちょっとタイヘン。 曇っているのに、暑い。Tシャツ短パンで作業した。 午後からは旭川市内にある社会保険事務所などに出かける。中小企業の経営者ってなかなか忙しい。こういう地味な仕事もいろいろとある。 市内は概ねアスファルト道になっている。しかし一歩住宅街に入ると雪が解けて道路はドロドロだ。僕の4WDステーションワゴンも時々腹をこする。軽自動車など車高が低い車であれば、解けた雪道のわだちに足を取られて腹がつっかえて動けなくなるのではないだろうか。 明日は四国から女房の父が遊びにくるというので、牛肉が大好きな父のためにすき焼鍋を買い、さらにスーパーですき焼の材料をいろいろ買った。明日の夜、孫とすき焼鍋を囲むことになるであろう義父を想像するだけで楽しい気分になる。義父のことだから、うれし涙で顔がぐしゃぐしゃになるに違いない。 うちの駐車場と同じだ。深い轍でぐしゃぐしゃ。春の恒例といったところか。 2006年2月21日(火) きょうの三段山 快晴、暑い!
天候:快晴 〈十勝岳の噴火活動〉 おとなしい
昨日に引き続き快晴になった。ものすごく眩しい。 おまけにものすごく暑い。まるでGWのようだ。風もなく、日差しは鋭い。汗だくになってしまう。Tシャツで十分だし、できることならズボンも脱ぎたい。股が蒸れてカユイ。耐感温度はプラス30度。夏だ。 それにしても、ものすごい景色だ。見慣れてはいるものの、それでもきょうはちょっと凄いと思う。山が近い。おっと何を寝ぼけているのか。オレは実際に山に立っているではないか。 いやいやそういうことではない。向かいの山の斜面までもすぐ目の前にあるような気がするほど、そこらへん全部が眩しいといういことなのだ。 ひと滑りしてまた登って、僕にしては珍しく登山道ルート上の2段目と3段目の間の台地で昼食にする。きょうは平日だから登山者が少なく、静かでダイナミックな風景が楽しめる。しかしながら高山帯の台地上には遮るものが全くない。ほとんど平らな台地には鋭い日光が容赦なく注がれる。強烈な紫外線に晒される僕らには逃げ場がない。30分そこそこの間に一気に日焼けが進むのがわかる。これはマズイ。緯度が高く、さらに高山帯ということで紫外線が限度をこえてあまりに強すぎるのだ。体によくない。 雪はどんどん腐っていく。スキーの底が高下駄になってしまう。お、重い・・・。 サングラスをしていたにも関わらず、ちょっと雪目っぽい症状になってしまった。目がチカチカする。 これから先、季節が進めば紫外線はもっと鋭くなるはずだ。もちろん春は嬉しいものだけど、もっと気をつけなければ。 下山すると美瑛の町も上富良野の町も雪解けが進んで道路はドロドロのズブズブで大変なことになっていた。2、3日は気温の高い状態が続くというから、雪解けが一気に進みそう。雪の表面は春の使者「黄砂」で黄色く汚れているから、熱を吸収してさらに雪解けに拍車がかかりそうだ。 2006年2月20日(月) ザ・バーゲン 航空会社のバーゲン期間はものすごく混む。いや、空港の話ではない。恐れながらガイドの山小屋の話だ。 そりゃそうだろう。ふだんは3万円から4万円もする航空券が1万円少しなんだから。定価など馬鹿馬鹿しくて払っていられない。だいいち差がありすぎる。だからみんなこの時期になるとドッとやってくる。 今年もバーゲンがはじまると一気にお馴染みの顔がやってきた。だいたい同じような時期に休暇がとれる人というのは決まってくるのか、参加者同士が顔なじみだったり、そうでなくてもどこかで会ったことがあったりするものらしい。まるで久しぶりに会った友人同士のような、そういう不思議な挨拶があちこちで見られる。そして誰もがみな冬の北海道が好きな人たちだから、当然ウマがあうらしい。見知らぬ者同士でも、けっこう早くに打ち解けていく。 僕も大忙しだ。一度のツアーが総勢20人なんてこともある。こういう日には前夜の仕込みが膨大になる。ガイドの山小屋は夜遅くまで準備に忙しい。ひとつひとつのレンタル・テレマークスキーにワックスを塗り、レンタルブーツのサイズに合わせてビンディングをセットする。サイズ合わせが終わったらそれを確認するようにブーツとスキーに名札を貼る。金曜も土曜も、その作業を終わらせるだけでも深夜2時までかかってしまった。仕込みと後片付けを合わせると、実際のツアー時間よりも長くなることだって決して珍しいことではない。 そんなふうだからもちろん、ガイド日誌を更新するような余裕はなかった。 しかし、だ。全然タイヘンなんかじゃない。そりゃ嬉しいに決まっている。 しかし、だ。、ときどき憂鬱になることもある。ツアーで盛り上がっている皆を見ていると、ふと寂しくなることがあるのだ。 俺もお客さんになりたいな、たまには。 2006年2月14日(火) 自分の足で旅したい 自転車の旅、消えゆくランドナー ドロップハンドルの自転車といえば昔っぽい印象がある。今やMTBの全盛で、支持されている一番の理由は「なんとなくカッコイイ」だと思う。確かにランドナーは一見するとなんとなく古臭い。 これがランドナー。ドロップハンドルの長距離旅自転車→ でも、ランドナーほど旅に適した自転車はないと思う。長くペダルを漕ぐ場合はいろいろ体勢を変えたいものだけどドロップハンドルはとても合理的な形をしている。荷物は積みやすいし車体が単純なので部品にも困らない。オートバイでいえばスーパーカブのようなものだろうか。 昨年の春に12年ぶりにマウンテンバイクを買い換えて最新のMTBで旅してみたが、いろいろと弱点も見えてきた。独特のデザインゆえに中型ボトルが1個(従来は大型タンク2個の装着が可能だった)しか取り付けられない。これでは乾燥地帯や僻地の旅には不便だ。 それからフロントフォークのサスペンション。登り時には腕も踏ん張るが、そんな上半身の力の伝達を妨げる。サスが路面の凹凸だけでなく力まで吸収してしまう。おかげで足の力だけで坂を登らなければならず、これはキツかった。自転車旅をしていると足だけでなく腕の筋肉も鍛えられるものだが、サスペンションの普及でそれはなくなりつつある。全身を使って振り絞る力を一切無駄にしたくないハードな旅に、これは致命的だ。 一方的に喋り、風のように走り去るカナダ人 ニュージーランドNelson近郊 おまけにサスペンション=構造上の弱所ともいえる。衝突などで変形した場合、部品の交換なしに復元は難しいだろう。これでは途上国の旅は難しい。 つまるところ「ランドナー」こそが長距離旅の正統派だと思い知らされた。かっこいい最新の「ランドナー」が欲しい。探してみた。 しかし、いくら探してみても見つからないのだ。今でもマイナーなメーカーから細々と生産されてはいるが、あくまで過去の遺物といった印象がぬぐえず、ちょっと色褪せてみえる。正直いってイケてない。昔のスタイルにこだわる山屋に似て、あまり合理的ではない。僕はやっぱり「カッコイイ、高性能、合理的」を求めたい。特にミーハーな僕には「カッコイイ」はとても重要だ。イケてないモノを使うと気分もすぐれないものだ。 使い込んだランドナーはカッコイイ。古いものを大切に使っていると、何ともいえない味が染み出してくるもので、新品では絶対に表現できないカッコよさがある。実際に程度のいい中古品は人気があり、高値で取引されるという。でも、新品のランドナーはいけない。ただの流行おくれにしか見えない。やっぱり見た目は重要なのだ。それに見た目がカッコイイと余裕が生まれてきて心も穏やかになるものらしい。 話がかわってテレマークスキーの話。今や過去のものになりつつある細い板と革靴の組み合わせはまるで自転車の「ランドナー」のよう。最新のブーツやビンディングや太い板は、最新のMTBの印象に重なる。より滑りを重視して今の主流になったが、「旅の道具」だった本来のテレマークスキーからは離れていきつつあるなと僕はやや冷めた目で見てしまう。 でも、やっぱりカッコイイ。 2006年2月12日(日) きょうの三段山 寒い、寒すぎる
天候:雪 〈十勝岳の噴火活動〉 見えない
昨日とおなじような天気。10時過ぎから風向きがかわり、やや強い西風が吹き始め気温がどんどん下がる。森林限界を越えた高山帯は雪がウィンドクラスト気味で表面が固くなりかかった雪は抜けが悪くて苦労する。きょうの参加者はキックターンが苦手な傾向がみられ、稜線の登りで苦戦。重ねてこの悪天候。初めて参加する人ならば気が滅入らないはずはない。晴れていれば別世界だというのに。 でも、ここさえ超えればあとはパラダイス。の、はず。いつもならば。 天候は悪化傾向。氷点下20度。寒くて寒くて・・・。森に逃げ込み風雪を凌げる大きなエゾマツの木の下で昼食にするが、ここも気温は−17℃、弁当も凍る。僕の弁当は保温パックにいれているのに冷え切って固くなっている。やはり厳しい条件下ではパンのほうがいい。凍っても食える。 あまりに寒いので昨日の樹林帯コースをそのまま使い、やや急ぎ気味に下山する。立ち止まると体を冷やすのでさくさく進む。みんな登りに苦労していたけれど下りが調子がいいようだ。途中から吹上露天尾根にコースをかえて緩斜面の疎林を滑る。それにしてもきょうは寒すぎるのか小鳥の1羽にも会わない。あのコガラでさえピイの一言もない。みんな寒さでじっとしている。 白銀荘でも気温は−15℃。これがなんと暖かく感じられたことか!きょう1日は業務用冷凍庫から家庭用冷凍庫に移動してきたようなものだった。 きょうもたくさんのオーストラリア人に会う。オージーの十勝連峰進出はどうやら着々と進んでいるようだ。 帰ってきてからはみんなで美馬牛のカフェ・ゴーシュに行く。おいしいコーヒーでほっと一息。僕はつい、おいしそうなパンケーキまで衝動買いする。ここに来るとつい何やら買ってしまうのだけど、それもまた楽しい。 2006年2月11日(土) きょうの三段山 良い雪、深い雪、
天候:雪 〈十勝岳の噴火活動〉 見えない
きょうはオトコのツアー。パワフルに行こう。ややラッセル気味に出発。膝くらいの深雪。しかしとても軽いので滑りに期待がもてる。さくさく進む。 がつがつ登って稜線に立つ。視界やや悪し。太陽の輪郭が見えるので、もしかしたら晴れるのかと思うのだが、晴れない。滑りに集中しよう。 細かい雪が降り続く。一般コースは静かな静かな樹林帯を滑る。ほかには誰もいないし先日までのトレースがすっかり消滅しているので数年前までの静かだったころを思い起こさせる。 すばらしい雪質でしかも深い雪。これぞ十勝連峰の醍醐味といったところ。深い雪はバフバフでこりゃたまらん。全身が埋没するような滑りに興奮する。チャレンジコースは4回登り返して西斜面から順番にパウダー斜面を満喫。タイムリミットの3時ごろまでパウダー三昧で満腹満腹。 場所かわって上富良野町営バス「うどんり」。満員の乗客にびっくり!乗客は20人以上の外国人。バーデン前から稜雲閣方面へと、手に手にスキーをもって乗り込んでくる。みなオーストラリア人だ。昨日は三段山に、きょうは富良野岳に入っていたらしい。オージーがついに十勝連峰に本格的に進出してきたようだ。 いまから20年ほど前、現在の富良野岳ルートを開拓したのは一人のオーストラリア人なのだそうだ。いまジャイアント尾根と呼ばれるルートも、おそらくは彼の名を冠して称していたルート名が鈍っていつの間にかそうなってしまったんだと推察される。そもそも何がジャイアントなのかわからないから、そう考えるのが自然だと思った。 オーストラリア人によって開かれたルートに20年後、オーストラリア人がやってくる。これも何かの縁だろう。 僕がいま好んで使っているルートもまた昭和20年代から30年代にかけて上富良野山岳会によって開かれた「2本松」と呼ばれるルートが発端になっている。ややエリアは外れるが旧トムラウシ山への稜線登山道コースも同じく先々代が開いた旧道を忠実に再現したにすぎない。オーストラリア人J氏、そして山の諸先輩方に感謝感謝。 2006年2月10日(金) 降雪期 きょうも雪。けっこう激しく降っている。今朝のツアーは丘めぐりのXCツアーだったけど、 ラッセルをした。まあ、山のラッセルとは比べ物にならないけれど、それでもふかふかの羽毛布団のよう。 ここ数日でお天気は降雪のサイクルに入ったようで、しばらくは雪が続きそう。そしてまた安定期、ふたたび降雪の日々、こんなことを繰り返しながら春が近づいてくるのだろう。 きょうのツアー参加者は香港の男性ひとり。公認会計士だという。身なりが清潔で背の高いスポーツマン。カタコトの日本語がけっこうチャーミング。女の子の参加者がいたらきっと一瞬で恋に落ちるだろうと思うけど、こういうときに限って女性の参加者はいない。運命の神様はなかなか微笑まないのだ。 久しぶりに英会話にチャレンジするが、言葉がうまく出ずにもどかしい。それでもすれ違い気味で滑り気味な会話がけっこう楽しかった。 ツアー終了後は駐車場の除雪。けっこう積もったのでスノーラ(除雪機)からは勢い良く雪が吐き出されて放物線を描く。せっかく除雪したのに夕方には早速10センチくらい新雪が積もる。見て見ぬフリをする。 きょう夕方、三女を出産した妻が赤ちゃんを連れて退院した。家のなかは物凄く賑やかになった。子供たちが2階で騒ぐと1階のガイドの山小屋店舗まで筒抜けで、かなり気になるが今のところ打つ手がない。 困ったなあ・・・。 2006年2月9日(木) ツアー中止を決めるタイミング 今朝は、きょうのツアーを中止すべきかどうか、とても迷った。 天気予報などで前夜から「明日はやばいな」と思ってはいたけれど、実際に中止が適切かどうかはやはり当日にならないとわからない。前夜まで大荒れだと思っていたのに朝起きてみたら晴れていたということは決して珍しいことではないから。何年たってもこの勘は100%うまくはキマらない。 予約している参加者は随分と前からこの日を心待ちにして旅行にやってくる。このツアープログラムのためにやってくる方も珍しくはないし、自分もオフシーズンには同じような旅行者だから「この日」にかける期待の大きさがよくわかる。それにもちろん、ツアーの中止は即収入減を意味するから、出来ることならば避けたいと、正直そう思う。 そんな悩める朝はやっぱり緊張しているから早くに目覚める。今朝、目が覚めるとまだ5時にもなっていなかった。すぐに外をみる。街灯を通して降雪を見る。駐車場に積もった雪をみる。雪はちらちらと降ってはいるが、まだ中止するほどではない。続いてテレビをつけて天気予報をみる。続いてパソコンの前に座り、あらゆる気象情報のウェブサイトにアクセスして情報の収集に努める。アメダス、衛星画像、専門天気図、風向、いろいろと見てみる。きょうのような場合は、注目すべきは雪雲の流れでも低気圧の配置でもなく、風向き1本だ。風向きできょうの天気は決まるだろう。十勝連峰に直撃するであろう風の向きを予測する。 午前6時、まだ雪は弱い。ときどき止む。 午前7時、外が明るくなる。空は明るく青みさえ感じられる。雪も風も弱い。 しかし、このとき留萌地方南部に暴風雪警報が出される。留萌地方南部の天気は約3時間後の十勝連峰の天気にリンクするからこれは見逃せない。 風向きが変わり始める。やはり顕著な西向き。これは「これから本気で降るぞ!」という予告だと僕は考える。気圧配置などの気象条件により一概には言えないけれど、きょうの場合は西風=荒れる、と見ていい。しかし窓の外を見ると、まだ雪の降り方は弱い。雪やコンコ♪といった具合の牧歌的な雰囲気ですらある。いま中止すべきかどうか・・・。 午前7時30分。中止を決めるタイムリミットが近づいた。自分の勘を信じて中止を決断する。すでにきょうのツアーの準備は済んでおり、参加者全員のお茶や御菓子、スキーの準備もできている。カウンターのうえに並べられて皆がやってくるのを待っている4本の魔法瓶が寂しくみえた。 決断して僕は無念の電話をかけ始める。 中止を伝える電話は、けっこう辛いものがある・・・。天候悪化の前であったなら「何故ですか!」と詰め寄る人だっている。相手の無念もわかるだけに、余計苦しい。何度経験しても、このときばかりはやっぱり気分が滅入ってしまう。 午前8時45分、中止を決めたので僕はツアーの準備を解き、やることもなくなってボーッと放心している。突然、失業してしまった。窓の外では雪の降り方が激しくなる。横殴りの雪と西風。天候は悪化の傾向。 午前9時15分、前触れもなく雪が止む。薄日が差し始める。ハッとした。 これをみて、きょう中止を告げられた参加者がどう思うだろうと考えるとまたまた苦しくなる。やはりダメもとで実施すべきだっただろうか・・・。でも、危険は冒せないし、不満足がわかっている日に実施することは不良品を不良と認識しながら販売することと同じだから、やっぱりそれはできない。ガイドの山小屋のブランドが泣く。僕は零細なガイド屋だけど、だからといって仕事で妥協したくはないと思う。ささやかなプライドだ。 でも中止を決めることは、やっぱり苦しい。 午前9時30分、ふたたび雪が激しく降り始めた。窓の外は真っ白で、いつも見えている美馬牛小学校前の森が見えなくなった。 きょう1日は外をながめながらず〜っと悩むことになるだろう。 2006年2月7日(火) きょうの三段山 きょうは地元女性のツアーの日
天候:晴れ 〈十勝岳の噴火活動〉 通常どおり
前回のバックカントリーツアーは「男ツアー」だったのだが、きょうは一転してレディース・デー。じゃ、女らしく しおらしく、ということで出発するが、これがなかなかどうしてパワー全開。さすがは道産子、足腰が強く、そしてスキーが上手。きょうはじめてテレマークスキーを履くという2人も、とてもきょうが初めてとは思えない。緩い弧のターンくらいは自然に出来ているし、それにほとんど転ばない。さすがだ。道北の出身であればほとんど誰もが小学生のときに受けてきたスキー授業は、やはり身についている。基礎が完璧だと思った。本州の人とは明らかに違う。 前回の「男ツアー」と同様に三段山を横断するコースをとる。最初に調子にのって降り過ぎたせいで登り返しは男ツアーより1本少なく標高も稼がなかったけれど、それでも「男ツアー」とほぼ同じコースでじゃんじゃん滑る。きょうは雪の条件もよい。深すぎず、浅すぎない。新雪はスキーがよく走る質で、思わぬスピードがでる。緩斜面でもじゃんじゃん滑る。おとといまで残っていたモサモサしたいやらしい雪はすっかり消えていた。寒さのおかげで湿気が抜けて乾いた雪になって落ち着いたようだ。 地元女性ツアーだけに地元っぽい話に花が咲く。いつもは見ているだけの山にいま立っているというだけで感動はひとしおだという。きょうがお天気で良かったと心から感謝した。コンディションは完璧。 女性だけのツアー、しかも近所を含めて参加全員が地元ということで、とても緊張した朝を迎えたが、いやいやどうして、とても楽しかった。1年に何回かは、こういう日があってもいいかなと思う。 「毎月○日はレディース・デー」 なんだかパチンコ屋みたい? 2006年2月6日(月) 情報ください カラコルム・ハイウェイ パミール高原 K2 チベットの北、パミール高原(新彊ウィグル自治区)からカラコルム山脈をこえてパキスタン・イスラマバードへと続く峠。あの有名なK2とかがあるあたり。標高は確か、5000m 近いはず。 どなたか、行ったことある方いませんか? 言語や治安のこと、宿事情、あらゆる情報を知りたいです。 ガイドの山小屋 2006年2月6日(月) 男と女は出会わない 土、日と「男ツアー」が続いた。金曜日は悪天候で中止したのだけど、催行されていれば金曜日も男ツアーだった。3日続いた「男の日」。ところが、きょうは一転してレディースデー。いやいや、それどころか今週はレディース週間になりそうな気配すらある。 明日の火曜日のツアーは今のところ女性ばかりのツアーになりそう。現時点での予約は4人で全員が若い女性。さらに、あさっても女性。 嬉しいような、複雑な気持ちだ。僕の家族は極端な女系なので、せめて仕事くらいオトコっぽくいきたいんだけど、なかなかうまくいかない。 このへんはバランスが難しい。ここ最近はツアーが女性だけ、男性だけという具合にメンバー構成が極端な傾向がある。女性7名という日もあれば、その逆もある。 ほんとうは、うまく混ざってくれたほうがいいんだけど。 2006年2月5日(日) きょうの三段山 ずるい日
天候:くもり 〈十勝岳の噴火活動〉 通常どおり
きょうは男ツアー。じゃ、男らしくハードに行こうということで通常のコースを延長して、ロングコースで三段山全域を横断踏破することにした。三段火口から西の谷、西の谷から3段目下へと、すでにトレースがあったので有難く使わせてもらう。他人のトレースをいくつかうまく繋いで楽をする。オレってなんだかずる〜い。 森林限界前後は雪にやや癖があったのでアルペンターンで滑る。登り返してやっぱりアルペンターンで、それぞれ無難にクリア。我ながらずるい滑りをする。 2段目雪洞で昼飯にする。2段目雪洞は、樹木の根と枝の張りと地形がいい具合に創り出した天然の雪洞で、2段目の近くにある。エゾマツの木の下などとは違って、完全に洞窟になっていて風雪を完全にシャットアウトできる。入り口は狭く、幅70cm高さ180cmくらい。ここを塞ぐとほぼ完全に密室になる。またエゾマツの幹が柱の役割をしているので崩れる心配もまったくない。中は7〜8人も入るだろうか。焼肉や鍋パーティにもいい。 昼飯後は正面ルートを嫌って2段目から東谷に降りる。林間に入ると途端に良い雪になった。そのままナマコ尾根を伝ってくじら尾根へ抜けてフィニッシュ。最後まで僕はやっぱりアルペンターン。ずるい俺。 男のツアーはハードに、しかしあっという間に終わる。いつもの倍くらいの距離を登ったり滑ったりしてきたのに、いつもより1時間以上はやく終わってしまう。温泉からあがってもまだ2時過ぎだった。じゃ、お開きも男らしくということで、帰り際にカフェ・ゴーシュに寄り、深炒りのオトコの珈琲で締めくくった。 男らしい1日だった。 2006年2月4日(土) きょうの三段山 強風の爪痕
天候:くもり 〈十勝岳の噴火活動〉 未確認
ラッセル覚悟で出かけたら拍子抜けした。2日間吹き荒れた風のせいで要ラッセル箇所はほとんどない。樹林帯もせいぜい20〜30cmくらいの新雪なのでラッセルというほどではない。 各所に巨大な吹き溜まりが形成されている。固まりかけているので衝突したらちょっと手強いだろう。1400mを越えたらガリガリのガタガタ。斜面にはモナカになりかけた風成雪がたっぷり。滑り味も重い感じがする。 樹林帯はまあまあだけど、一見、素直に見える表面10センチ下にはゴワゴワした雪の層があってこれが邪魔くさい。おまけに風のせいなのか、樹林帯のなかですら雪が盛り上がった丘があったりエゾマツの枝からの雪塊の落下跡が激しい。面倒なのでアルペンターンで下ってきた。アルペンターンだと結構おもしろおかしく滑れる。 標高1300m付近の森のなかで雪洞に最適な場所をみつけたので雪洞をつくった。2〜3人で鍋や焼肉をするのにちょうどいい広さで快適そのもの。きょうは寒かったからそこで昼飯を食ったが、気に入ってしまい、立ち去り難い。ぜひ泊まってみたいと思う。とても丈夫な構造なので春まで使えるはず。しかし入り口がとても狭くて小さいので、次はなかなか見つけられないかもしれない。 ツアーが早く終わったのでカフェ・ゴーシュに珈琲を飲みに行く。一緒に行ったSさんはクリスタル・マウンテンを、僕はコロンビアをオーダーした。 珈琲は豆が新鮮だと、とても美味しい。新鮮な豆の珈琲は焼きたてのパンのような、ふくよかな香りがたまらない。幸せな気分になれる。 2006年2月2日(木)大安 低気圧と吉報と きょう は午後から天気が急変した。いまは雪がしんしんと降り続いている。山ではドカドカと降り続いているようだ。もしかしたら、先々週のような1mラッセルの週末になるかもしれないとU塾長は心配そうなふりをして顔は喜んでいる。 何しろ10分間で10センチという驚異的勢いで雪がどんどん積もっているというのだ。今週末は正直、三段山には近づきたくない気分かも・・・。 2月に入るとそろそろ幾分天気は安定傾向を示すものだけど、今のところそのような兆候は見られない。いっぽうで札幌雪祭りには絶好のコンディションかもしれない。 きょう僕はツアーを休んだ。かわってU塾長とアシスタント・モモのコンビで英語とハングルと日本語が入り混じるわけわからんバックカントリーツアーが実施された。総勢9名、これがなかなかどうして。異様な盛り上がりだったらしい。 アシスタント・モモは盛り上がりすぎて低気圧の真っ只中に車を回送中に雪の山に突っ込んだという。白銀荘のレスキューに助けてもらって華々しいデビューを飾った。 そのころ、僕は旭川の大学病院の一室にいた。きょうの午後、妻が3人目の赤ちゃんを出産したのだ。さくら色の肌をした赤ちゃんが、妻に抱かれてスヤスヤ眠っている。 僕は三姉妹の父になった。 2006年2月1日(水) 国際化とローリングストーンズ きょうのツアーは 女性ばかり5人。4人が外国人、唯一の日本人女性はなかなかの美人だった。この、たった1名の大和撫子も英語が堪能ときた。出発前にツアーガイダンスを英語&日本語で始めたところ、彼女いわく 「英語だけでもいいですよ」 「ん?そうですか」と、僕。でも、かえってプレッシャーだったりするわけで。 こんな僕は決して英語が堪能なわけではない。少し前までは全然ダメだった。それでも必要に迫られ、しぶしぶ貸自転車の説明などをやっていたが概ね逃げ回ってばかりで、外国人の対応はもっぱら妻に押し付けていたのだ。 妻は同じ高校の同級生で、英語ではクラス1番の優等生だったのだ。いっぽう僕はいつもビリ。だからつい、今だに妻に頼ってしまう。 しかしながら、いつまでもそうして逃げ回ってばかりはいられなくなってきたので、何年かぶりに会話集やらリンガフォンなどにかぶりつき始めた。高校生のころはローリングストーンズに熱狂していたからリスニングだけは得意で、これがいくらか幸いした。リンガフォンくらいなら全然問題ない。 世の中、何が役に立つかわからない。僕の場合はストーンズ。 僕の英語はいわゆる「伝える」ための英語で、たぶん本当はメチャメチャなんだと思う。もちろん、英会話教室に通ったことも短期留学もワーキングホリデーの経験も一切ない。これまで一度も習ってはないから、かなりいい加減なはずだけど、それなりに伝わっているから不思議。ま、何事もなんとかなるもので。 昨年の秋、7週間ほど単身ニュージーランドに行き、自転車で旅行した。これがけっこう根性をつけてくれた。全然喋れなかった僕が、なんとなくソレっぽくなって帰ってきた。かなり嘘っぽいけど。 それを待ってましたとばかりに今年は外人がたくさんやってくる。香港、上海、カナダ、台湾、韓国、オーストラリア・・・。ガイドツアーの国際化時代にギリギリで滑り込みセーフといったカンジだ。嘘っぽいけど、何とかやっている。 明日のツアーは7人。うち外国人が5名。ツアーは2ヶ国語で進行する。さすがに十勝連峰のバックカントリーツアーともなると1日ツアーだしフィールドもシビアなので強気な僕でもイマイチ自信がない。こんなときはU田塾長が頼りになる。明日、僕は盛り上げ役に徹しよう。 グッダイ・マイト!さあ出かけよう。 |