|
|
2008年2月29日(金) 病院にスタバ 旭川医科大学付属病院 きょう、女房は2ヶ月に一回の通院の日。なんとなく、通院の日は僕も同行することにしてます。 旭川医科大学付属病院は北海道有数の高度な医療機関で、旭川だけでなく北海道北部の全域からたくさんの患者さんがやってくるのでいつも混んでいます。だから2時間3時間待ちが当たり前。 さて、この病院にはスターバックスがあります。昨年開店しました。 これがなかなかイイ。 空港にある店舗のように、まるで屋台みたいに小さな店なんですが、いつも混みあっています。入院患者さんはじめ、ドクター、看護士さん、通院患者さん、それから製薬会社などの業者さんなど。いろんな人がやってきます。 それにしても、スタバができたおかげで待ち時間の苦痛が随分と緩和されました。 一杯のおいしいコーヒーのおかげです。 2008年2月28日(木) 激パウ、三段山! きょうは友人に借りたK2ワークスティンクスの試乗などしておりました。時折雪が激しく降る絶好の深雪日和。それにしてもいい板です、ワークスティンクス。軽く取り回せます。急斜面も全然ぜーんぜん抵抗なく突撃できちゃう魔法の板であります。すばらしい。 さて夕方、ヤマから帰ってきて装備などの手入れをしていましたら、吹雪のなか来客が。どなたかと思ったら吹上温泉白銀荘の施設長さんと常務様ではないですか。 いやいやどうもどうも。こりゃひどい降りだわ。 いやあ、どうもですなあ。降りますなあ。 いやいや、こちらこそどうもどうもですわ。参りますわ。 いったい何がなんなんだか。でも、こうやって意思疎通が出来ちゃうというのは「どうもどうも」の言葉のもつ摩訶不思議パワーでありますね。 いやあどうもどうも。 先週末の雪にやられて、しばらく十勝岳や富良野岳や三段山周辺は雪が悪くて怪我しそうだからなー、なんて思い足が遠のいていたんですが、いやいやどうして。 施設長さんの話では、 「いやチャック※がさ!言うのさ。昨日は今シーズン最高の雪だったって!」 !!!!!!!!!!!!・・・・!!!!!!! なんだって―――――!! 「でさ、きょうは少し重かったって!」 ・・・・・・。 てことは、明日あさっては鬼ラッセルってことね。 きょう白金温泉からの帰り道、ほとんど前が見えないくらい降っていましたから。我が家の駐車場でさえ、ずっしり深雪になってます。 そうですね、2、3日して雪が少し落ち着いた頃、日曜日あたりに天国が待ってるんじゃないでしょうかネ。この降りっぷりだと富良野岳、ベベルイあたりはえらいことになっちゃうかもです。 ※チャック 富良野在住のオーストラリア人ガイド。日本とニュージーランドを往復、1年中滑っているパウダージャンキー 2008年2月27日(水) ガイド業界、数年後は・・・。 どんな仕事でも同じですが、ガイド業もここ10年で大きく変化しました。 10年前、ぼくがこの地でバックカントリーツアーをはじめたころ、周囲には同業者なんかいませんでしたし、テレマークスキーヤーすら滅多に見かけませんでした。三段山は昔から山スキー愛好家にとって人気の場所でしたが、今日のように休日には行列ができる、なんてことはなかったです。 さて、スキースノーボード人気の低迷とは反比例してバックカントリーが注目されるようになり今日のような賑わいが見られるようになりましたが、それもすでにピークは過ぎたようにも感じています。ピークは昨年あたりだったかな? まあ、長くやっていると「変化」というものに敏感になります。そしてここ2、3年の変化で見逃せないのは、外国人の存在でしょう。 アジアをはじめ、欧米から訪れる方々が爆発的に増え続けています。もう無視することはできない。ニッポンの国内観光の鎖国は終わったと思いました。 バックカントリーもまた同じです。 変化を感じたのは5、6年前でしたが、3年前には確信に変わりました。このままでは生き残れないと感じたボクは、突如思い立って英会話の勉強をはじめました。途端に外国人のお客さんが増え続けて、今に至ります。 この傾向はこれから加速すると思います。十勝連峰バックカントリーは本格的な国際化を迎えることになるでしょう。 この地域では、日本語と英語の両方を不自由なく話せるガイドが生き残ると思います。ガイドさんは増えるけれど日本人ビジターはさらに減ることは間違いない。いっぽうで外国人ビジターは増え続けるでしょう。日本語オンリーではたぶん生き残れない。厳しい現実はすぐそこに来ていると思います。 プロの勘、経営者の勘でそう感じるんです。 日本人でありながら不自由なく英語を話せるプロのガイドさんが今、ここで独立開業したら、後発ながらもたちまち第一人者に台頭することは間違いないと思っています。ガイジンで日本語が話せる、よりも有利。特に欧米人はパウダーを滑りながらも日本文化に興味深々です。たとえば空手ができる日本人バックカントリーガイドがいたら、あっと言う間にハートを鷲掴みだと思う。本当に。 ボクは焦った! ボクは英語が苦手です。日常英会話なんて、とんでもない。そのボクがなんとなく英語でコミュニケーションできるようになったのは、ここ2、3年のことです。 毎年2ヶ月ほど、ともかく向こうで、ひとりぼっちで生活してくる、という荒療治をしました。日々生きていくために英語が必要で、やばい状況に追い込まれたので焦って必死になりました。 これが効いたと思います。今でも英語は破茶滅茶だけど、話すことに抵抗はないし、だいいち楽しいと思えるようになりました。 そもそもガイドとして生き残っていくために始めた英語だけど、気が付けば面白いことに目覚めちゃったという気がします。 これからのガイド業界は体だけではなく頭も鍛えなければならない、知識の幅も広げなければならないし、面白い新鮮なネタも次々と仕入れなければならない。アイデアも必要。同じ場所にしがみついていてもダメ。そんな時代です。 まま、このへんに理由を見つけてボクは今年もまたMTBでどこかに旅立っていくわけです。今年は10月から12月にかけて南米パタゴニアを縦断するつもりです。スペイン語圏ですが、スペイン語わかんない。コレってなんとかなる? あああ、これも仕事だ仕事だ、辛いなあ。こんな仕事を生業にしちゃったボクは不幸なのかラッキーなのか、よくわかんないなあ。 まま、いろいろ大変なんだけど面白い仕事です。ただし、10年後にここで生き残っているかどうかは、それはまだわからないです。 とりあえずは目指せ国際ガイド。でもNZに移住しちゃうかもしれないけど。 2008年2月26日(火) ウェア選び 販売店ではそろそろ冬ウェアの値下げが始まりました。物欲増進中。 お客さんからよく相談を受けます。 「ウェアを買おうと思うのですが、どのメーカーが良いでしょう?」 とりあえず、使用の目的や頻度などを聞くのですが、どこがいい!と一概には言えないものです。 マムートやパタゴニアや、マウンテンハードウェアなどを勧めることが多いのですが、他社もいいもの出してますから甲乙つけがたいです。 たとえばボクはパタゴニアを多く持っていますが、もちろん「イイ!」と思って着用してます。何しろ仕事着としてほとんど毎日使用しますから丈夫でなければならないのです。パタゴニアの商品の多くはヘビィな使用に耐えうるものです。
あのブランドの大袈裟なロゴは苦手だなーとか、あそこはゆったりデザインで着用したときにゴワゴワして嫌とか、そういう好き嫌いも多少あります。 好きなブランドも自然と決まってきます。例えば、マウンテンハードウェアのパンツ。大きく開くベンチレーション、縫製が丈夫で足が長く見えるデザインとか、そういうことが気に入っています。マムートもお気に入り。丈夫は言うまでもなく、デザインはさりげなく超クールで、しかも主張しすぎない。 メーカーのシンボルになっているマンモスのマークがこれまたイイ! マムート アイスピークジャケット(写真) さて、ひとつ例にとりますと、ボクが冬の間ほとんど毎日着用しているウェア(ハードシェル)は、 パタゴニアの、「メンズ・ストレッチ・ラティチュード・ジャケット」(右写真)といいます。ややこしい名前ですネ。 ゴアテックスのような厚手の透湿素材で防水性と耐久性に非常に優れます。中綿はなく素材そのものに防寒性はありません。比較的スリムなデザインで丈も短め。 激しい動きでもゴワゴワ邪魔になりません。脇には大きく開くベンチレーション(蒸気発散ジッパー)があります。そして軽量。 このジャケットをほぼ1年中着用しています。夏山での雨合羽として、街着はじめ日常生活の普段着として。海外遠征では唯一のジャケットとしてバックパックのなかに押し込んでいきます。これ一枚しか持たないので雨の日も晴れの日も風塵吹き荒ぶ日もこれを着用します。洒落たカフェに出かけるとき、素敵なイタリア女性を誘って蚤の市に出かけるときだってコレを着ています。もちろん国際線の機内にも国内線のDC5のうらぶれた座席にもコレを持参します。 冬のバックカントリーツアーのガイド業務、毎日の除雪作業、冬山ガイド研修もこれ。ルートバーントラックの南極ブナの森も小雨降りしきるなかこれを着て歩きました。 南緯40度の強烈な西風帯もこのシェル1着で凌ぎました。 プラス30度からマイナス33度まで、これ一枚。そういう使用に耐えうるものがボクは好きです。 ただし、マイナス20度を下回ると生地が硬くなってしまいます。凍結して板のようになるのですが、それはまあ仕方ないかもしれません。 また裾の内側にスノーカフ(スカート)がついていたら完璧だけどなぁ、と思います。時々、裾から入り込む風や雪に閉口することがありますから。 軽くてカッコよくて機能充実。1年中つかえて、それでもって世界中どこにでも持っていけるタフで頼れるやつ。そんなものはないでしょうか? 誰か教えてくれませんか? 2008年2月25日(月) まったり行こう 久しぶりにお会いする方というのは嬉しいものです。 きょう来てくださったSさん(20歳代)は、もともとはレンタサイクルのお客さんでした。いつも一人旅で、特に鈍行列車の旅が好きだという珍しい女性です。 きょう生まれて初めてスキーをするといいます。でも、フィールドを見ると昨日の嵐によって雪原は削られ掘られてガタガタです。雪ではなく乱氷帯のような荒れた風景。カチカチで大きく波打つ荒涼とした雪原。どこにも粉雪がない。 困った! でも、何とかなりました。固く波打つ氷雪のうえを勇敢に滑るSさんを見ていると、さすが度胸があるなと思います。鈍行列車の旅で鍛えられてる! それにしてもテレマークスキーってすごいです。このツアーをクロスカントリースキーからテレマークスキーに切り替えてからというもの、全然滑れないまま終わったという人はひとりもいません。生まれて初めて雪に触るという方だって何とかなる。何とかなってしまう。 素晴らしい・・・。 テレマークスキーって万能だワ。 ま、何事もまったり行きましょう。ほんと、なんとかなっちゃいますから。 (写真と文章は全然、ほんとに全然関係ありません) 「こっち来るんじゃないよモー」MTBの行く先を通せんぼする牛。ニュージーランド、ウォルターピーク付近の氷河渓谷にて 2008年2月24日(日) 雪崩発生 それを最初に発見したのは先に尾根に立った池田ガイドでした。最後の登りを歩いていたボクに緊急の無線が入ります。 「雪崩がみえます」 場所は三段火口の直上。幅は100mとも150mとも思える大規模な雪崩の跡。明瞭な破断面が斜面いっぱい、ほぼ一直線広がり、周囲の雪面が一度に一気に崩れ落ちたことがわかります。一部のデブリブロックは火口の下にまで達していました。 そのあと三段火口から見上げると、さらに2箇所の雪崩痕跡が確認できます。いずれも破断面50センチ程度、幅は20m前後。下部には雪崩ブロックが散乱しており発生直後の痕跡を生々しく留めています。 僕たちが行った弱層テスト(雪柱150cmを掘り出してのシャベルコンプレッションテスト)でも、50センチに極めて脆弱な弱層を確認。 ブロックを切り出した途端に揺れ始めるほどの、非常に脆弱な層の存在を確認。この弱層は疑いなく、いま現在、僕たち8人の足元50センチ下にあり。 さらに、西の谷と三段火口に挟まれた尾根状斜面では、その上部一帯が完全に崩落。幅30m〜50m、やはり破断面は50センチ前後。どう見ても同じ弱層が崩れた表層雪崩。デブリ末端の一部は斜面のボトム(末端)近くにまで達しています。 危険度数は5段階の5と判断。僕たちは滑降をやめてただちに区域から離脱しました。 対岸の西尾根に立つと、そこの斜面はカリカリのアイスバーンで安定しており、クラック(亀裂)も入らない。ほんの少しの条件の違いで結果が全然変わってくることを実感しました。 それにしても、いままで、いったい何回このツアーをやってきたことでしょう。実施してきたバックカントリーツアーの回数は500回を優に超えると思うのですが、きょうほど雪崩現場をハシゴしたことはかつてありませんでした。たった500mの間に、目視可能な雪崩が4箇所以上もありました。 発生はいずれの場所も昨日だと思われます。 もし僕たちが何も知らずに危険な斜面に進入していたなら、いったい何人が埋没しただろう?自然発生ですら、いとも簡単に崩落した斜面。いまも辛うじて崩れずに残っている斜面に何人もの人間が一度に進入したなら? その結果は明らかでしょう。 もし、まるで無知だった10年前の僕たちだったなら?そう考えると、バックカントリーのもつリスクの高さをあらためて実感するのです。 「三段山では雪崩は起きない」 「私たち、危険なところには行かないからビーコンなんて必要ないんです」 そういうことを言う方に、ぜひ見ていただきたいと思います。そして知っていただきたいと思います。可能性は決してゼロではありません。 2008年2月23日(土) また敗退 新ルート下見ツアー きょうは美瑛富士1141ピークの下見に行きました。 白金温泉から入山。途中まではスノーモービルの轍と、先に入山して白金林道をオプタテシケ方面に向かっている友人naokissの トレースを使わせてもらい、わりとさくさくと進みます。 本日大荒れの天気予報ですが、お天気はというといつもの曇り空。でも、山頂方向からは風の唸りが麓のここまで聞こえてきて不気味です。 naokissのトレースと別れて涸沢林道へ。こちらには数日前と思われる別のパーティの踏み跡がありましたが200mほどで引き返したようでまもなく終点に。そこから 新雪ラッセルが始まり、それが思った以上に大変でした。 ラッセルはあまり深くはなく、せいぜい脛〜膝程度です。楽勝と思われたのは最初だけ。雪は重雪湿雪。たいしたラッセルでもないのにじわじわと疲労が押し寄せてきます。腿があがらない。 ようやく美瑛富士の登山口。異常な高温(気温0度)と降り続く湿り雪のせいでウェアはびしょびしょ。滲みテクト。おまけに標高があがっても雪の重たさはかわらず。ラッセルはさらに深くなります。登山道をじわじわ登りますが、ここで時間切れ。僕たちに下山を促すかのような突風が時折吹き抜けて、そのたびに森のなかを真っ白な0m視界にします。おおこわっ! 午後1時。敗退決定。標高1141には遠く及ばず。当初は1141から天然庭園に遊び、そのまま865ピークに繋いで750へ、そしてnaokissのトレースが刻まれているであろう白金林道へと下山しようと思ったんですが、それはまたの機会にしようと思います。 2008年2月22日(金) 楽しい札幌 聖地巡礼の旅 さて、ここはどこでしょう? これがわかる人は、おそらく「藩士」と呼ばれているはず。あるいは自認していることと思います。 ヒント1:札幌にあります。 ヒント2:けっこう傾斜があります。 ヒント3:前枠後枠。 どこでしょう? ここって、もしかしてテレマークスキーでは未踏峰?いやいやいや、残念ながらすでに処女峰ではなく、熱心な藩士によって登頂滑降制覇されています。 どんな世界にも変態、じゃなかった、強者はいるものですね。 2008年2月21日(木) 変態トラバース 新ルート下見ツアー 本日の十勝連峰のお天気は、くもり時々晴れ、ときどき雪であります。お天気のフルコースとっても贅沢。 西向斜面の雪はモナカでありました。久しぶりにみた本格モナカ。ついにそんな季節になったんですねえ。モナカのうえに新雪30センチという、微妙なコンディションです。でもま、そのほかの斜面は概ねいいカンジでした。 きょうは新ルートの下見です。お連れしたのは気心の知れた男性のお客さんお一人。突如ボクに拉致されて山奥に連行されました。なんだか嬉しそうです。変態です。わくわくしながら秀岳荘シールを装着しておりました。 途中までは外人さんたちと一緒に歩き交互にラッセルしたりします。これまでは外人といえばオージーばかりだと思っていたけれど、最近は十勝連峰バックカントリーにもオージーはじめ米国人やヨーロピアンも増えてきました。楽しい! いったい、ここはどこ? さて、肝心の新ルートですが、狙った渓谷が思いのほか深くて急峻で藪々で、冷や冷やハラハラしっぱなし。こういうのも楽しいけれど、変態的です。 命名「変態トラバース」 お昼前、変態トラバースから脱出。ある意味、敗退でした。 2008年2月20日(水) 失敗 本日快晴であります。 片道1時間半。車をブイブイ走らせてようやく着いた○○山の麓。 張り切って、前夜には4セットのスキーすべてに入念にワックスも塗っておいた。我ながら完璧な仕事なのだ。オレってカッコイイ・・・。 さて、スキーを下ろしながら、とんでもないことに気付いた。 「ああああ!ストックがない!1本もない!」 が〜ん・・・。 目の前真っ暗。 わ ら う な ! 2008年2月19日(火) プロガイド、リスクとの闘い 雪崩、吹雪など、冬のバックカントリーには数々のリスクが潜んでいます。 自然条件が絡む案件のほかに、参加者のメンタル面の問題や健康の問題、というものもあります。仲間同士の山行にはないこれらの案件は、プロガイドの営業ツアーでは無視のできない、とても大きなリスクとして我々のまえに立ちはだかります。 例えばある参加者Aさんが、持病を隠して参加したとします。そして訪れた最悪の事態。厳冬の雪山でその人が倒れる。 パーティはその瞬間から、全員遭難の重大な危機に直面します。リーダーは、倒れたAさんを見捨てて下山するか、Aさん救護のため現場に残り、全員を生命の危機に晒すのかという重大な決断を迫られることになります。 参加者だけでの下山。これは仲間だけの山行のみ許されるオプションで、ガイドツアーでは絶対にあってはならない行動です。実際に内部崩壊したパーティが同時複数遭難したケースがいくつも報告されています。山のベテランならば誰もがこの行動がタブーであることを認識しているでしょう。 さて、修羅場となってしまった現場。いつでもヘリが飛んでくるとは限りません。むしろ来ないと思ったほうがいい。また、地上の救助隊が現場に到着するのは、まず間違いなく翌日以降。それまでには、あと何人かの健康な方までもが死ぬ可能性がきわめて高い。 体調の不良を隠してまで山行に参加してはいけません。もし、誰かがなんとかしてくれるなるだろうなんて考えているのであれば、それはちょっと筋違い。万一そのときが訪れたとき、参加者全員が生存の危機に立たされるということを忘れてはいけません。 受付をするとき、ボクはけっこう緊張しながらメディカルチェックの項目に目を通します。まれに、お断りをすることがあります。 過去10年の間には重大な事故に繋がりかねない事例がいくつかありました。それらを踏まえたうえで、僕は厳しい判断をすることになります。 持病を隠して参加された方。なんとか下山はしたけれど、その方はそのあと入院されました。 精神病の治療中だったという方。途中で興奮して手がつけられない凶暴状態になり、楽しいツアーは一転してパニックに陥りました。 なんですかっ!まだ歩かせるの?トイレもレストハウスもないじゃないですか!信じられない!「タクシー呼んでください」プンプン怒り出したバブル育ちの方。 いやいやいや、いろんなことがありました。今じゃ笑い話ですけど。だからどうしても、潜在リスクは事前にキャッチする必要があるのです。 参加をお断りするとき、受付に立つ双方の間には不穏な空気が流れます。なんともいえない重苦しい時間があります。ボクだってお断りなどしたくはありません。だって、経営的には1円でも多く稼ぎたいじゃないですか。それをわざわざ断るんですから。わざわざ売上を捨て、顧客トラブルを起こして、そこまでして断るわけです。 こういうときは本当に苦しいものですが、どうしても必要なことなのです。 2008年2月18日(月) ク、クロカン?(クロスカントリースキー) ひと昔前、バックカントリーツアーをクロカンでやっていた時代がありました。 「あのころは妙に馬鹿馬鹿しくて楽しかったよね〜」という声が聞かれる今日この頃であります。う〜ん・・・。 ぜひ、クロカン・デーをしましょうという声がしきり。う〜ん・・・。 リスクマネジメント的にはNGなんだけど、迷うなあ・・・。もちろん不可能ではありませんけど、本当にいいの? クロカンでは1段目だって到達は難しいですよ。ホントに。 ケガしやすいんですよ。特に足首の捻挫。くにゃくにゃになっちゃいますよ。 春ならばいいだろうか?クロカンなのにビーコンつけてる一団が三段山。 春の珍事!? ところで、あの馬鹿馬鹿しい楽しさは細板・革靴テレマークに通ずるものがあるのかもしれません。妙に面白い。うまくいかないから面白い。 いいかもしれませんね。 ところで、GWの焼肉ツアーはクロカンで参加したっていいんです。 クロカンなんだから安くして!という特別待遇はないけれど、ご希望があればもちろん喜んで倉庫からクロカンを引っ張り出してきますよ、クロカン好きのみなさま。 そういう好奇心、ボクはけっこう好きかも。 2008年2月17日(日) 一転して深雪パウダー!きょうの三段山。 いやあ、雪質って一晩で変化するものなんですね。 おまけに昨夜から今朝にかけて、さらに20〜30センチほどの新雪が積もったようです。これがまたイイ。 昨日までの、どうしようもなく重たい湿った雪も乾燥が進み、結構いいカンジに改善されていました。 激パウです。深い! 巻き上がる雪が直撃するから顔が痛い!深すぎて前が見えない。 シアワセだ〜。 しかし、こういうときはラッセルがきつい。 三段山正面の夏道にはしっかりしたラッセルルートがついていますが、いったん夏道を逸れてバックカントリーエリアに進んでいくと、あとは延々と続く終わりなき底なし深雪地獄。 腿ラッセルときどき股、たまに腰。 いやあ参った参った。 でも、滑りのいい雪質だったので下りラッセルになることはなく、救われました。 雪が少ないと云われ続けたこの冬ですが、この1週間のドカ雪(正気の沙汰ではない!)のおかげで?例年なみの積雪になったと思います。たった1週間の間にいきなり1m積もったので、景色が変わってしまったようにも感じます。 これならばGWまで大丈夫。焼肉ツアーの催行はきっと問題なし。 ただ、気になるのは60センチ下と70センチ下にある不気味な弱層。数日たてば新雪が締まってくるので弱層の位置は50〜40センチの位置になると思うのですが、これが結構やばいカンジ。 短期間にいきなりたくさんの重たい雪が積もったので、急斜面では弱層面が重量に耐えられなくてほんの少しの刺激で一気に崩れる可能性があります。 ご注意ご注意。 2008年2月16日(土) ドカ雪、重雪、きょうの三段山。 久しぶりに崖尾根から入山してみました。 すっかり変わってしまった崖尾根。厳しい表情をしています。いつもと違う雰囲気に違和感を感じます。 一抹の不安を覚えたボクたちガイド2名は、多少の時間と手間をかけてでも正確な評価をしたいと考えてシャベルコンプレッションテストを実施することにしました。ハンドテストよりも客観的な判断ができます。 高さ140cmほどの雪柱を掘り出しての評価、その結果40センチと50センチ付近の2箇所に顕著な弱層を確認します。2回目も同じ。40センチと50センチの2箇所には確かに弱層面があり、断層のように層全体がずるりと滑る。 しばし議論。そして結論。 池田ガイドに命を預けて、まず僕が先頭にたって慎重にラッセルルートを刻みます。さらに自分に言い聞かせるように何度も踏み固めました。 ひとりずつお客さんに通過してもらい、最終的に崖尾根を全員がクリアしたのは正午を過ぎたころでした。頂上付近には巨大な雪屁がせり出して登ってくる僕らを威圧しているかのようでした。 ガイド2名で13名の引率。冬山ではこれがギリギリだと思います。 ここが難所であることをあらためて実感。もし稜線下10m付近に形成されている巨大な吹き溜まりが崩落したら5人くらいは軽く巻き込んでしまうでしょう。もし下敷きになれば、深さ2m〜3m埋没は確実といったところでしょうか。 さて、其の後も深い深いラッセルに進路を阻まれて難儀します。みなさんもまた重たい雪に足をとられて苦闘しています。 天候はめまぐるしく変わります。いったん刻み付けた崖尾根ルートもおそらく一晩で消えてしまうことでしょう。まあいいのです。しばらくここには来ないと思います。雪の状態が不安定で、ちょっと不気味なのです。 明日はもう少しマシになるでしょうか?どこへ行こうかと悩んでいます。 2008年2月15日(金) やってしまった靭帯損傷 うぬ?なんだか痛いぞい?と思いつつ1日が過ぎ・・・。 さて午前中のツアー、やっぱり痛い。これはタダゴトではないぞと思いつつ。 ああ、やってしまいました。右足膝の、前十字靭帯損傷、外側側副靭帯損傷。ま、つまりは膝の捻挫ですね。あああ〜・・・ 前十字靭帯は3年前の関節骨折のときにすでに傷めていて、骨折と一緒に治したつもりだったのですが、其の後も時々痛んでいました。そしてまたまた傷めてしまったみたい。外側側副靭帯も同じく骨折の折に痛めたのですが、これも骨折と一緒に治しました。のつもりですが。 骨折も同じなんですが、靭帯の最善の治療は、安静なんだとか。 安静にしていたら、そのうち治るんだとか。 う〜ん・・・。 さて、今回の捻挫ですが、まさか安静にはしてられません。シーズン真っ只中だもの。無理無理無理。無理だってば! 仕方ないので、特殊装具を装着して仕事を続けることにしました。 まあ、重傷ではないということです。 今回の2つの装具。ひとつは、市販の特殊サポーター。左右に金属の骨が入っていて、なかなか安定がいいようです。4〜5千円くらい。 もうひとつは、なんと左右の側副靭帯に沿って各2本、合計4本の軽金属の骨が入っているうえ、クロスのゴムが二重三重に膝全体を覆うというものです。 これが、なかなかいいです。 おおおお〜〜〜ってカンジ。 こいつに助けてもらって、シーズン終わりまでなんとか頑張ってみます。 今回は悲壮感はないです。怪我とは、かれこれ長い付き合いですから。 もう休みませんよ。大好きな冬だもの。 2008年2月14日(木) 爆弾低気圧到来。細板革靴カムイへGo! もちろんバックカントリーツアーは中止。でも、ほかにやることないのでカムイスキーリンクスに行きました。 同行したのは古いお付き合いでドギーの名手でもある神戸のBNさんと、プライベートな友人の札幌国際YHマネージャーIWさん。とりあえずみんな気持ちはバラバラなのでそれぞれ勝手に滑ります。 ボクは4年ぶりに革靴をはいて細板テレマークスキーに乗ってみることに。 取り付けてみて正直思いました。「なにこれ?クロカンみたい。」 最大幅が70mm。まさにクロカンです。足元ぐらぐらです。 あああ。おれの人生そのもの。 でもでも!滑ってみてビックリ。いけるいける!楽しい! 思った以上にびゅんびゅんいけちゃいます。これはイイ! きょうのカムイスキーリンクスは悪天候のため一部のコースは閉鎖されゴンドラは運休、上級斜面の上部は暴風&ウィンドクラストと決して良いコンディションではなかったんですが、意外と細板革靴はそんなウィンドクラストもバリバリ噛み砕きながら跳んでいくのです。 いいな〜。楽しい〜〜。びゅ〜〜〜ん 後半は買ったばかりの、いわゆる太板に初乗りしてみました。メガファットと呼ばれているヤツです。ま、ボクもいちおうプロガイドなんで、1セットくらいは持っててもいいかなと思って手を出したメガファット。深雪での浮力は抜群のはず。 ええ〜、コレが、意外とオレには合わないようでして。 いまいち相性が掴めない。荒馬に必死にしがみつくカンジでした。 ぶっちゃけ下手っぴなんですねボク。出直して修行しますよ、はい。 ま、良しとしましょう。(ようわからん) ※あくまでプライベートです。通常は中止振替ツアーは実施していません。 2008年2月13日(水) 吹雪の美瑛はウロコ板で歩こう 騙し騙され国際大会 さあツアー出発の時間、美馬牛は一瞬の晴れ間。つい、騙されて車を五稜に走らせたら、やっぱり吹雪になっちゃったです。 案の定、騙されましたよオレたち。仕方ないなあ。(騙されるなよっ!) さて、スキーは生まれてはじめてだという香港の女の子を騙してテレマークを穿かせます。ホッカイドウでは買い物も通勤通学もスキーだよ。みんなコレと同じスキーをもってるんだからとデタラメ言って騙します。 あっさり騙されてくれて、ちゃんとスキー履いて歩いている香港の女の子。 15分後には滑っていました。 やっぱね、信じることさ。 通勤通学に、日々のお買い物に、ウロコ板のテレマークスキー。 エコな時代ですから。今も昔も生活必需品です。 2008年2月12日(火) 久しぶりのラッセル in 白金原生林 きょうは白金温泉から入山して、美瑛岳山麓を楽しみました。 いやあ参った。昨日から久しぶりにまとまった降雪があり、どっさり積もってる。しかも北海道的ではない、やや重たい雪です。 この連休中には入山者があったようでアバレ沢沿いや旧林道には足跡もありましたが、でも、そのあとの積雪が深すぎて気休め程度。 しかもボクが好んで歩く原生林内には人が立ち入った痕跡はなく、オプタテシケ方面への登山口にかけて森のなかを延々ラッセルを強いられました。 いやあ久しぶりに汗かいちゃった。 おまけに1日中ずっと、ほとんど休みなく湿った細粒な雪が降り続きました。 参ったなあ・・・。 でも、下りはふわふわの新雪だったので、短い距離ながら楽しいツリーランを楽しみました。おまけにエゾシカとの遭遇&逃走追跡つき。 スキーで追いかけるので逃げる鹿に追いついてしまうんです。もう少しで捕まえるところだった。でかい尻が目前に迫ったときは、正直戸惑いました。 ここまま飛びついて羽交い絞めにしてしまおうか。ああ焼肉。 さて、白金原生林には久しぶりに来てみましたが、そのまま無性に美瑛岳へ登りたくりました。アクセスはけっこう長くて大変なんですが、森林限界からうえの、あの広大な眺望は、十勝連峰随一だと思うんです。 2008年2月11日(月) テレマークスキーは万能 きょうは美瑛の丘「パッチワークの路」の裏山に出かけました。 ウロコ板のテレマークスキーは滑ることのできるスノーシューのようなもので、こういうときには万能ぶりを如何なく発揮します。 登る、歩く、そして滑る。軽いし、楽ちん。 登り性能も滑り性能もクロカンの比ではありませんし、歩き性能も楽ちん性能もスノーシューの比ではありません。 そして、楽しさは比べようがありません! きょうの4人のお客さんのなかには雪をはじめて見たという台湾からの一人旅の女性がいらっしゃいました。もちろんスキーはきょうが生まれて初めてです。 ほんの5分後には何の支障もなく歩き始め、その10分後にはスィ〜と滑っていました。 アルペンスキー(ゲレンデスキー)では有り得ないことです。それにボクは何も教えてない。 彼女は普通の女の子でした。見た目は女優の宮崎あおいかシンガーソングライターのYUIに似た華奢な女性です。スポーツ万能というタイプではない。 それでもこのとおり!やっぱりテレマークスキーはすばらしい。 ボクは、よほど頑なにスノーシューで!絶対ぜ〜ったいスノーシューで!と主張される方でもない限り、できるだけテレマークスキーでの参加をすすめているのですが、それなりに訳があるんですよ。 スノーシューは技術を教える必要がないのでガイドとしては楽なんですが、でもテレマークのほうが絶対に楽しいと思うんです。だから準備や指導などに倍の手間がかかっても 、ボクはテレマークスキーを勧めるんです。 確かに終わったあとの爽快感が全然違 うんです。また、ここ数年の傾向から、クロカンよりもスノーシューよりもはるかに満足度が高いことを知りました。 おかげでガイドの山小屋の倉庫には10台以上のスノーシューがホコリを被ったまま眠っています。 勿体無いとは思うんですが・・・。 ただ、目的によってはスノーシューのほうが便利な場合もあります。雪のうえで作業する場合などは小回りのきくスノーシューがいいと思います。 2008年2月10日(日) 幸運すぎる十勝連峰 きょうは前十勝に行ってきました。またまたきょうもいい雪で快晴です。こんなにいいことが続くと、 今後何かいけないことがありそうで怖いです。 今シーズン初の前十勝でしたが、小雪のため心配していた隠れ岩への接触もなく快適でした。心配していた「フリコ沢」の 川渡りも問題なし。知り合いのSさんがご自身のブログで「十勝岳&前十勝方面の難しさは実はいかに岩にヒットせずに滑り降りるかという難題、雪渓の位置と形を覚えていなければ出来ない芸当」と書いていましたが、まさにそのとおりだと思いました。 日々の侵食によって岩々の位置や形は変わっても雪渓の位置や形や深さはそう変わるものではありません。僕らが毎年毎年無意識に見てきた十勝岳の雪渓、おかげさまで役立ったように思います。 さて、この週末の十勝連峰はどこも満員でしたが、さすがに前十勝方面への入山者は少なくて、おかげで滑りたいラインを好きなように選択することができ、入山していたどのパーティも充分に満喫できたことと思います。僕らガイドの山小屋の2パーティ11人もまた存分に堪能させていただくことができました。 しかしながら、今日を最後に富良野岳も三段山も前十勝も、どこの斜面も全面的に隅々までボコボコになっちゃったのではないでしょうか。 おそらくどこにも、ノートラックで滑れるところは残ってないです。 しかしですよ皆さん。週間天気予報をご覧になりましたか?
月曜日までは晴れ。月曜の夕方から雪が降り出して、火、水、木、金と雪マークが並びます。
そしてそして、週末の土日の天気はというと、「晴れ」。 ばんざ〜い!
これって幸運っていうんでしょうか。 自然と顔もにんまりしちゃうというものです。 週末は、日焼けの予防をお忘れなく。 ただし、これは「厳しいラッセルが待ってる」という意味でもあるのです。この事実もまたお忘れなく。 2008年2月9日(土) 十勝連峰とギョーザと きょうは三段山のバリエーションコースを西から順に滑りながら満喫しました。最後の西尾根では三段山クラブとのパウダーセッションもあり、楽しい1日となりました。 それにしても、きょうもいい雪で快晴で、気が変になりそうです。 こんなことが続いていいのか? いいのだ。 好きです十勝連峰。やっぱりここは最高です。 さて、好きですといえばギョーザ。(飛躍しすぎ?) きっと例のギョーザ問題の影響なんでしょうね。なんだか激安で売られています。そこで昨日のボクんちの夕食はギョーザ。わんさか買ってきました。 ああ、とても素敵です。安くてうまいギョーザ。 だってものすごく安いんだもん。ということで焼いて焼いて焼きまくりました。 あの騒ぎ、バカみたい。けっこう冷めた目でみてます。 なんで他の商品に飛び火するんだろ? まあいいや。ギョーザが安いから。ありがたいですから。 さて、例の「白い恋人」も「赤福」も、販売再開とともに飛ぶように売れてタイヘンだっていうじゃないですか。あの騒ぎは かえって国家規模の巨大キャンペーン(数十億円規模の広告宣伝)になったというわけです。 あはは。いいですねえ、そういうの。 このギョーザ騒動もそのうち鎮静化するわけですが、そうですね、北京五輪あたりで逆に大ブレイクに転ずるんじゃないだろうか? 北京五輪。巷は空前の中国ブーム。 ギョーザ屋さんには長い行列が! お客さんはいいます。 「あんなことがあったから、もう安心。ギョーザ大好きなんです。」 おいおい、ちょっと違うんじゃないかい?まあいいや。 「雨降って地固まる。」いい言葉ですね。昔のひとはうまいこと言う。 きっとそうなると思います。 そしてギョーザブーム、来るでしょう! ちょっと遅くなったけど、春節おめでとう。 2008年2月8日(金) 山岳ガイドは受験生 世間は受験たけなわの季節、今年はボクもまた受験生でした。 冬山山岳ガイド試験です。この試験結果はそのまま「日本山岳ガイド協会」の公認ライセンスとして移行されるという重要な試験でありました。 年末に海外トレーニングから帰国して、そのまま年末年始の繁忙期に突入して、年が明けてもカミフ会主催の雪崩事故防止セミナーの準備と実施、並行して毎日の本業のツアー業務という具合に、とても受験の準備をする暇がなくて合格なんて無理と思ってましたので受験のことは秘密にしてました。 テレマークスキーしか知らない僕です。アイゼンもピッケルもかれこれ10年以上使用してません。雪は知ってても、氷壁や岩にはほとんど縁がない。 それに現役ガイドが落ちたらカッコ悪いっしょ? 黙っててゴメンナサイ。 受験日は1月24日(木曜日)、まさに爆弾低気圧が直撃した札幌郊外の手稲山で行われました。何しろ凄い吹雪だったので血が騒ぎました。ウォォォ〜ン!みたいな。
そして本日合格発表。 ザイルワークを教えてくれた池田ガイド、 ガイドの山小屋店内に張り巡らせたロープの森のなかで運用を丁寧に指導していただきました。ボクに縛られて引っ張られて、どうもスミマセン。Wカラビナブレーキは即戦力になりました! それからいろんな情報を惜しげなく流してくれた石黒ガイド、石黒ガイドとは前々日の深夜まで真っ暗な月寒公園の斜面で鼻水垂れ流しながら一緒に頑張りました。あの特訓は効きましたよ。青春ってカンジだったよね。 それから札幌在住のKazu.Tさん、大変貴重な平日休みを返上してお付き合いいただき、シールを付けたスキーで手稲山山域をくまなく歩きました。適切な解説のおかげで全く土地勘のない手稲山全体を体の隅々まで感じて吸収することができ 、その結果、絶対的致命的なハンデを克服できました。 ノマドの若手ガイド軍団のみなさん。即興ではあったけど我々のチームワークは素晴らしかったですね。またセンターハウスで集まっての前日の自習&ディスカッションは、なんだか学生のころに戻ったようで楽しかったです。これからもフィールドでお会いすると思います。楽しみですね! 札幌国際YHのマネージャーさんには、滞在中、受験生のボクのために部屋割りの配慮や、また静かな自習室まで提供いただきました。おかげ様で落ち着いた環境のなかで深夜まで納得いくまで勉強することができました。 ノマドの宮下さん、北海道山岳活動サポートの樋口さん、大雪山トレッキングデスクの小早川さんなどには受験を強く勧めていただきました。また札幌のマウンテンショップ・ドルジェの石川さんにはいろんな技術を指導していただきました。新得・屈足のマウンテック大橋さんにもまた、受験の枠を超えた指導までしていただきました。皆様の応援や支えなくしては今日の合格はなかったと思います。感謝の言葉もございません。 そのほかにも、いろんな方に手伝っていただいて、いろんな方に協力いただいて、この頼りない即席受験生を支えていただきました。みんなの助けが本当にありがたかった。仲間っていいものですね。骨身に沁みました。感謝の言葉はまだまだ足りないけれど、合格はみなさまのおかげです。 本当に、本当にありがとうございました。 2008年2月5日(火) 十勝連峰、クラブフィールドへの道。 僕は最近思うのです。 十勝連峰をめぐる人と人の結びつきはまだまだ不完全ながらも徐々に結実しつつあること、 フィールドを愛する人たちがフィールドを想い、それぞれ手弁当で、この場所のために何か貢献できることがあるのではないかと集まってくる。 ふと気付いたのです。 「これはクラブフィールドの精神に近いのではないか」と。 ニュージーランドのクラブフィールドのひとつ「ブロークンリバー」 昨秋、私たちの集まりがようやく形となって「カミフ会」(会田圭治凌雲閣代表)が生まれました。最初にしたことは、雪崩事故がなくなってほしいという願いから「雪崩事故防止セミナー」を開催。この模様は新聞やテレビなど報道でも広く取り上げられたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 メンバーはそれぞれ仕事をもち、それぞれの世界で手腕を発揮している社会人です。ただ、ここが好きだからという理由で集まってきます。この活動を営業活動にしようと考えるメンバーはおらず、皆ボランティアで、それぞれ自分が出来る範囲の貢献をします。 僕は恩人を雪崩事故で亡くしたことや、また、長年まさにこのフィールドで仕事をしていることから 「恩返し」のつもりでカミフ会に参加しています。これが僕のできる地元貢献だと考えました。お役に立てることが僕の喜びです。 さて、これまでのカミフ会結成までの日々をふりかえり、なんとなく 「いい形だな」と思います。 まだまだ一枚岩ではない僕たちですが、これから時間をかけて活動が成熟していけたらいいなと思うのです。 僕らは自分たちも全く気付かないうちに、日本初の「クラブフィールド」へ向けて動き出したようにも思えるのです。ま、多少思い違いくらいでいいんです。 さて、僕たちはこれからどのようになっていくのでしょうか? 日本でもお馴染み、 クラブフィールドで生まれたスキー「キングスウッド」 カミフ会(上富良野冬期山岳事故防止委員会) 2008年2月4日(月)2月9日一部加筆校正 マムートの、アナログっぽい話。 先日、僕が愛用している最新ビーコンのマムート・パルスバリフォックス のお話を書きました。あれからいくつかの関係先やプロガイドや仲間たちから幅広い意見が寄せられました。 少しだけわかってきたことがあります。確かではありませんが、おぼろげながら見えてきたことです。 ●検証してみます。 @パルスバリフォックスで現行オルトボックスF1を含むすべてのビーコンの捜索 はまったく問題なく、むしろ素晴らしい性能である。 A現行オルトボックスF1でパルスバリフォックスを捜索する場合も、もちろん問題はない。 Bパルスバリフォックスと最新ビーコン・ピープスDSPの相互捜索。 もちろん問題はない。 ●続いて、懸案の2000年以前製造の旧型オルトボックスF1との相性。 C旧型オルトボックスF1(2000年製造)でパルスバリフォックスを捜索。問題なし。 Dパルスバリフォックスで旧型オルトボックスF1(2000年製造)を捜索。捜索不可。バックアップモードでの捜索不可。 EピープスDSPで旧型オルトボックスF1(2000年製造)を捜索。似た症状が発生することもあるが、深刻ではない。 F他のパルスバリフォックスでDをチェック。同様の事象発生。 つまり、DEの場合に問題があるようです。 最新3本アンテナの最新デジタルビーコン、パルスバリフォックスおよび一部のピープスDSP のなかには2000年以前製造の旧型アナログ方式オルトボックスF1の発信する電波を感知しづらい、相性が悪い可能性があります。 また、ピープスDSPは現行のアナログビーコン全般(新F1含む)とも相性が悪いのでは?という報告もあるようですが、実際に見た限りでは問題ないように思います 。まれにそういう事例があるのかもしれません。 さて、ここで簡単な実験です。旧オルトボックスF1と現在のビーコン。たとえばオルトボックスX1を比べてみましょう。両ビーコンは発信音が若干違うことがおわかりでしょうか?パルス(ビープー音)発信の間隔が、 X1のほうが早くなっています。昔のF1はゆっくりしてる。 なんでも、発信パルス間隔が早いほうが感知されやすいため、信号の発信間隔は近年新しいモデルが発表されるたび少しずつ早くなる傾向があるとか。 旧型F1はふるい時代のビーコンで、非常にのんびりしたパルス間隔で信号が発信されており、最新のデジタル受信機ではこの、アナログのんびりパルス信号がむしろ 受信しづらい傾向があるとか。 実際にF1はDSPなどでは捜索優先順位が低くなり、たとえ真下にあったとしても離れたところにある他のデジタルビーコンを優先して捜索するという信ジラレナイ現象が見られるようです。ああ、F1・・・。 どうやら旧型F1は時代の流れに取り残されつつあるらしい・・・。あわれなF1に自分の姿を重ね合わせてみたり・・・。おっといけねえ。感傷的になってる場合じゃないですよ。 さて、解決策です。 ピープスDSPのことはわからないのですが、マムート・パルスバリフォックスにはアナログ捜索モードというのがあります。これを使います。 設定(取説29ページ参照)画面で、アナログモードをオンに設定します。(工場出荷時にはオフになっています)これで捜索モードのとき左右のキーを同時に押すだけでアナログ捜索モードに切り替えができます。 同じく左右のキーを同時に押すとデジタルモードに戻ります。何度でも交互に行ったり来たりできます。 アナログ捜索モードでは電波誘導法を利用した「直交捜索法」で捜索します。捜索方法はアナログビーコンとほぼ同じです。(取説27ページ参照) おおお!感知するじゃないですか!完璧です。ああ、これはまさに、なつかしのアナログビーコン感覚です。レンジの切り替え、電波誘導法・・・。 ずばり、これで解決します。どんな旧型ビーコンの捜索でも問題ないはずです。ただし訓練が必要です。訓練しましょう!レッツ・訓練! ******* 2月4日の夕方、あれこれ悩んでいましたら、一本の電話が。 なんとボクが悩んでいることを知った「マムートジャパン」からの電話でした。 あれこれ話を聞いていただき、改善のアドバイスを一緒に考えていただきました。そしていくつかのご提案をいただきました。 上記の、アナログ捜索を試してほしいというのも提案のひとつでした。 それによってF1問題はひとまず解決しました。 ありがたいことです。 本社に連絡して、もし、旧型オルトボックスF1を受信しづらいという事例が他にも確認されたなら、将来何らかの改善策が施される可能性もあるといいます。何しろF1は普及率ナンバー1。 旧型のF1だってまだまだ世界中で使用され続けているはずです。 面倒な直交捜索法を駆使しなくてもよくなるかもしれない。 それにしても、たかが大勢のなかの1ユーザーにすぎないボクの、雪深い北海道のこれまた町から遠く離れた十勝連峰の山麓にあるボクの小さなオフィスにまで 細やかな配慮をいただけるなんて、本当にありがたいこと。 ああ!これってアナログっぽい。アナログな対応じゃないですか。 みなさ〜ん!これからはやっぱりマムートですよ! ひとりひとりのユーザーを大事にしてくれるアナログっぽさが嬉しいじゃないですか。 さらに、あまり知られてないと思いますが(僕も知りませんでした)この小さな機体のなかにアナログ機能を残しているというのが、僕はとても気に入りました。さすがですね、マムート。 2008年2月3日(日) 感涙。うれし鼻水と三段山。興奮で頭が変。 とりあえず、ボクの評価で恐縮なんですが。 きょうの三段山は5段階評価のうち5、10段階評価のうち10です。減点の事由がまったく見当たらない。 新雪が40〜50cm。ラッセルは膝ときどき腿。ラッセル度数は5段階の3くらい。軽いので問題なし。 特筆すべきは雪質。板すべりの良さ。軽さときめ細かさ。ウホホー!!です。 ええ、もちろんオーバーヘッドです。 息ができません。何度むせ返ったことか。(粉を吸い込んで) ゴーグルしてても前が見えません。自分が巻き上げたスプレーに包まれてしまうので視界不良。 迷うことなくシーズン最高の1日だったと断言します。 シールがヤラレなければ日没まで下山しなかったと思います。いや、雪洞掘って泊まったかも?いつまでも登って滑っていたかった。10年あまりこの仕事してますが、こんな最高のシーンは滅多にあることじゃないんです。 最初から最後まで、滑った斜面の全てがノートラック&オーバーヘッドパウダーでした。天国。 あああ、素敵な場所だココは。 ところが、きょうの三段山も富良野岳も入山者はまばらでした。なぜ? 昨日も同じようなカンジでした。人がほとんどいない。なぜ? 例えば、三段山ノーマルルート西ルートが、あの広い斜面までもが全面ノートラックなんですから。ずーっと、ずーっとノートラックなんですから。 膝パウ斜面がノートラックなんですから。 なぜ? さあ!ついにやってきた激パウの日々、この状況はしばらく続くと思います。先日の爆弾低気圧によって圧縮された天然ピステのうえに新雪。日々少しずつリフレッシュしながら厚みを増していきつつあります。このぶんだと 「明日はもっと最高かもしれない」とか思ったり。 この仕事をしていて幸せだと心から思いました。やはり十勝連峰が好きだ。 次の週末は3連休。さ、さ、最高なんじゃないですか? 2008年2月2日(土) マムート・パルスバリフォックスと三段山の西の谷 最新ビーコン 、マムート・パルスバリフォックス。思わぬ衝撃・・・。旧型(2000年製造の旧モデル※)オルトボックスF1を感知せず。 無視するとか、複数捜索の際に優先順位が低くなるとかではなく、「受信不可」。 えええーー!! なんと本体どうしを重ね合わせてもダメなんです。いえ、わずかに感知しているようで、16mとか、24mとか表示しています。 おいおい、僅か2センチなんですけど? ところで、対する哀れなF1には問題はないようです。このF1はビーコン訓練の際に埋没用として幾たびも埋められてきました。いろんな人のいろんなビーコンによって探し出されてきた立派な現役選手なのです。 でも、マムートパルスバリフォックスは旧型F1を感知しません。 逆に旧型F1はマムートバリフォックスにびんびん反応します。 なぜ?片思い? 謎。 後日、他のパルスバリフォックスでもやってみました。結果は同じでした。 ほかのビーコンに対しては素晴らしい性能を発揮します。目をみはる高性能。しかも簡単で使いやすい。優秀すぎて怖いくらい。 よほど嫌いなんでしょうか。旧型オルトボックスF1が。 さて、きょうは三段山の西の谷に行こうと思っています。昨夜はまとまった積雪になったようだし、※富良野岳ってしまった斜面もきっと一晩でリカバリ &パウパウ化したことでしょう。 お天気は晴れ、美馬牛でも綿毛のような雪が10センチほど積もりました。 ※現在は滅多に見られなくなった2000年以前製造のオルトボックスF1に限定されます。現在のF1に対しては問題はみられません。 ※富良野岳る=オーバーユーズ、斜面がズタズタ。パウダー見る影なし、という意味 2008年2月1日(金) 激安の航空運賃 ここ数日、安い航空運賃をいろいろと調べていました。 今シーズンからバースデー割引がなくなったり、バーゲン運賃が高くなって、その影響でガイドの山小屋の利用者のうち本州勢には、かつての勢いがありません。 こりゃいかん。 どぎゃんかせないかん。(宮崎弁ふうに) ご存知の航空バーゲン運賃。JALとANAがほぼ同じ時期に片道13000円という航空券を販売するという、みんな大好きバーゲンフェアですが、みなさんどうしてもここにだけ集中してしまいます。 でもバーゲンの欠点は、2ヶ月も前から予約しなきゃならないということ。 2ヶ月先の休みなんて、わかんねえよ。という方がほとんどなので、なかなか利用し辛かったりします。そりゃそうだ。 いろいろな方たちに教えていただいて、調べてみました。 すると、どうやら「ビジネスパック」が最安値らしいことがわかってきました。このビジネスパック、往復航空券にホテル1泊がついてきます。おまけに復路便は自由に設定できるものが多いようです。 (例)羽田―旭川 30800円 往復航空券+ビジネスホテル1泊 復路便は最長で出発日から2週間以内 JALツアーズ調べ やったー! スカイマークの札幌便使用、ホテル1泊つき復路自由設定で18800円という、いったいどうなってんねん?みたいな設定だってあります。 おまけにオドロキなのは、直前予約が可能。 もうこれは、うっひゃっひゃっひゃ!ですネ。 主なビジネスパック格安航空券 travel.co.jp 国内格安航空券の比較 往復航空券(ホテル1泊を含む)で検索Go JALツアーズのビジネスパック&空たび 2008年2月1日(金) 立ち塞がる電柱 厳冬期だというのにガイドの山小屋の前の道路ではいま、拡幅工事の真っ最中です。凍った地面を砕く機械がいつも唸りをあげています。 ガイドの山小屋と隣のペンションとぅもろうさん、2軒の専用なのに拡幅&アスファルト舗装なんて、ちょっと大袈裟なんじゃない?と思うんですけど、公共工事なんてそんなものなんでしょう。よくわかりません。 道路が広げられるので電柱の位置も変わることになりました。 ガイドの山小屋はもともと駐車場が広いので間口の真ん中あたりがロータリーのように空いていて、そこに電柱や大きなヤチダモの木や看板があります。 さて、そこへ新しい電柱がやってきました。 近くにどど〜んと立てられた新しい電柱。 「いや、待てよ?」 そこは大型バス用駐車場の進入路のまん前じゃないですか!冬は使っていないので工事の方にはわからなかったのでしょう。 お、お、驚きつつ現場監督さんに交渉。「何とかして〜」 案外あっさり移動してくれることになって解決しました。 あらためて適正な位置に新しい電柱が立てられました。僕んちとお隣さん専用の電柱です。 やれやれ。 |