|
|
|
|
2009年8月30日(日) 小さなオートバイと、大きなオートバイ オートバイ屋さんの倉庫に預けっぱなしになっていたオートバイが1年半ぶりに我が家にかえってきた。
帰ってきたとはいっても、動かないままのオートバイ。 車検も切れている。
古い輸入車なのでいったん故障したら部品の調達に難があり、維持にはお金もかかる。排気量は普通乗用車なみの1000ccなので車検もあるし税金もいる。 冬の長い北海道ではオートバイはあまり実用的とはいえず、ボクのお小遣いの範囲内では維持があずましくない(具合がよくない)のが悩みの種だ。
今年は修理をあきらめた。もうすぐ冬がやってくるから。
いっぽうで、仕事では250ccの小型オートバイを使う。パトロールや先導、団体さんのバックアップ、山のツアーの下見など、いろんなことに活躍する。250ccの小型オートバイには車検はないし、税金は安いし、なんたって燃費が35km/1リットルと、エコカーをはるかに上回る超エコな乗り物だ。ひとりで乗るのならば250ccで十分だと思ってる。それどころか、50ccのスーパーカブを買おうかと思案しているくらいだ。スーパーカブの燃費は100km/1リットルと驚異的。みんながスーパーカブに乗れば、たちまちガソリンは売れなくなり、空気は澄んで中東の油田では在庫がダブつくだろう。
ボクはかつて大きなオートバイに憧れて免許をとった。中型免許は1年で素通りして19歳で大型バイクの免許を取得した。しばらくは750ccや900ccの大型オートバイに乗ったけれど、そのうち身の丈にあったオートバイが好きになり、小排気量のオートバイを乗り回すようになった。大型オートバイは今でも好きだけど、自由を感じるのはむしろ小型オートバイかなあ。
夏の北海道にはオートバイの旅行者がたくさんやってくる。目立つのは大型のオートバイだ。きけば、大型オートバイを買ったら北海道をツーリングするというのがオートバイ乗りの目標のひとつなのだという。そういえばボクもそうだったっけ。
小型オートバイを停めて休憩していると、外国製の大型オートバイが隣に停まる。旅のライダーさんと話していると、よくこう言われる。 「大型バイクはいいよ。免許とらないの?」という。
「そうですね。カッコいいですね。」 苦笑いを噛みこらえるのだ。
お盆をすぎて、少し肌寒さを覚えるようになった。オートバイの季節も終盤といったところだろうか。 大型でも小型でもいい。 オートバイで走っていると、季節を肌で感じるところが、これまたいい。
2009年8月27日(木) 報道をうのみにして、巨大な荷物を背負い、あまりの重さで遭難!? 最近のあきれた報道。
「トムラウシ遭難 ガイド、ラジオ持たず」 北海道新聞8月23日朝刊
社会面トップ記事に、のけぞった。
次はラジオだってさ。ラジオ?? まるで20年前の持ち物リストだな。 さいきんは、50グラムにも満たないようなラジオがあるから別にいいけど、ラジオを登山に役立てているひとがいったいどれだけいるんだろうか?
正義の鉄拳を振るうつもりで、相当な見当違いをやってるかんじがする。 かえって、無知をさらけて、みっともない。
ニッポンの登山は、とにかくたくさん持っていくことが正しい、という風潮がある。短パンやスニーカーで入山しようものなら鋭く批判的視線を浴びる。彼らにしてみれば、トレイルランニングなど、完全に「違反行為」そのものだ。
じゃ、巨大な荷物がいいの? そういうのって、変じゃね?
こういう風潮は、たぶん日本独特のものだ。
そういえば・・・。 僕はよく自転車で海外に行く。テントなどすべてを自転車に積んで大陸横断の旅に出るが、おそらく皆さんが思うよりはずっと荷物は少ない。5つのバッグにすっかり納めているから、見た目はスマートだ。もちろん10日以上の食料、10リットル以上の飲み水、医薬品、テントも寝袋も入っている。いわゆる完全装備だけど、見た目はすっきりしている。これまでの経験がそうさせている。だてに年はとってない。 旅先ではいろんな旅人に遇うが、オートバイの荷台に山のような荷物を積んだ旅行者は言葉を交わす前から日本人とわかる。欧米人はいたってシンプルなのだ。
いまは夏。北海道では旅のチャリダー(自転車旅行者)をよく見かける。山のような荷物を積んだ者も少なくない。大陸横断時のボクなんかよりも泊まるところにも食糧にも水にも困らない彼らのほうがはるかに荷物が多い。いったい何を積んでいるんだろう?よくわからない。
これがジャパニーズ・スタイル。
ま、備えあれば憂いなしと、いう。
さて、これまでの報道の内容を整理して、報道屋さんに批難させる隙のないような登山の持ち物をリストアップすれば、こうなる。
・1週間分の食料 それ以上 さらに非常用食料 ・大型テント、予備のテント、簡易テント、(3張ということ?) ・寝袋、予備の寝袋(2つということ?) ・ガソリン(灯油)コンロ、予備コンロ(2つ以上) ・大量の燃料(注意:酒ではない) ・着替えたくさん ・厳冬期用の防寒具を完全装備(もちろん真夏でも!) ・レインウェア・予備のレインウェアも。 ・30メートル以上のロープ ・ヘルメット ・アイゼン(夏でも、ひとかけらでも雪を見かけたら!!) ・ピッケル(上記、同じ理由) ・短波ラジオ ・アマチュア無線機 ・携帯電話
実際には、まだまだあるだろう。実態とはかけ離れているようにみえる。
過去には、日帰りの登山者の遭難で「テントも寝袋も持っていなかった」って批難してたから、日帰りも宿泊つきも関係ない。 それから、登山するひと全員がアマチュア無線の免許を取得しなければならないということにもなる。つまり、報道の内容をうのみにすれば、そういうことになる。
ひとりあたりの荷物の総重量は、軽く40kを越えるだろう。入山する前から遭難するんじゃない? てゆうか、無理。
そのときの思いつきで 「けしからんけしからんキキキキー!」ってヒステリーにわめくまえに、 まずは、お手本をみせてもらいたいと思う今日このごろ。
登山でも何でも、いろんなスタイルがある。 ボクが重視するのは「スピードと身軽さ」だ。多くの場合、荷物は少ないほうが楽しいし、リスクが少ないというのは経験から身に染みている。
巨大な荷物を持つのもいいだろう。でも、長い移動には辛い。そのぶん、備えがあるから安心だ。
正解なんか、ないと思う。それぞれのスタイルで楽しめばいいと思う。だから、「あれを持ってない、コレを持ってない、けしからん」といい、持ち物を批難するような報道には違和感があるし、ピンぼけの印象がある。 きつい言い方をすれば、なんか頭悪そう、ってカンジだろうか。(失礼)
そういう問題ではない、と思うのだ。
2009年8月25日(火) 夏の仕事
ある日のお昼下がり、気温はぐんぐん上がって30度をこえた。
彼ならばママチャリでも十分に楽しめるだろう。 ママチャリのレンタルは、彼のような旅人のためにある。
彼ならば登り坂だって一気に登りきれるだろう。決して電動自転車に劣らない。
だけど、何事にも例外はあっていい。
※
いつの日か、どこか旅の空の下で再会できるだろうか。いがぐり坊主頭のA君。
8月もそろそろ終わり。美馬牛には早くも赤とんぼが舞っている。
※ 割引プランご利用時に返金を行なうことはありません。この話は、たぶん作り話です。^^; 2009年8月21日(金) お客さん骨折。携帯は不通・・・。日高山脈 いやもう凄すぎますから。 クローズアップ現代でもおなじみ、我らがM大将。
面白おかしくサラリと書いてるけど、実はめちゃ緊迫のストーリー。
今年2月のツアープログラム「生還ツアー2009」でボクがひつこくすすめていた 「ザ・力技搬出法」、参加者は若干引いてたけど、結局最後はコレしかないかも?
そのときオレにも出来るか? いや、やらなきゃいけないんだよな。
http://nomami.e-powder.net/d2009-08-18.html 「腹減ったら・・・」宮下岳夫著
登山ツアーのことならノマドです。おれ脱帽!
2009年8月16日(日) 美瑛に秋の風 お盆が過ぎて、唐突に夏が終わった。
空は青く澄んでいる。空気は乾燥していて、風はさわやかだ。 気がつけば、トンボが舞っているじゃないか。
秋のそら。
北海道では一般に、お盆を過ぎたら秋、というが、はたしてそのとおりだった。
いきなり秋。ほんと、突然なかんじで。
旅人も行きかうレンタカーの数も昨日までの3分の1から4分の1に減り、本来のあるべき美瑛・富良野らしい日常が戻ってきたように感じる。
北海道の夏はあっという間に過ぎ去っていく。
今年は天候が不順で、少し心配していたけれど、どっこい秋はちゃんといつもどおりでやってきた。
テレビでは、そろそろ暖房器具やスタッドレスタイヤのコマーシャルがはじまる。 スーパーの鮮魚コーナーには道東産の新鮮な鮭や、根室のサンマが並んでいる。
北に住む人々は冬支度のことを考えるようになる。 ボクはパウダースノーの夢をみる。
カントリーライフはなかなか忙しい。
2009年8月15日(土) テレビ東京さ〜ん お盆。いつも閑散としているガイドの山小屋だって、 さすがにお盆は超忙しい。
特に昨日の午後はこの夏のピークのひとつだった。 団体さんのバスがやってきており、駐車場はほぼ満車、さらに店頭には順番を待つ一般のお客さんの列ができた。そんな時間に、一本の電話があったという。
「あったという」とは、そんなときのボクは外で走り回っているのでお店で何が起こっているのかは全然知らないのだ。250ccの小型オートバイにまたがって四季彩の丘とガイドの山小屋を繰り返し往復しながら、外国人のお客様には英語で、日本人のお客様には日本語で、関西人には関西弁で、ともかくそこらへんを走りまわりながら店から無線で刻々と伝えられる指示に従い、全集中力を傾けて全力で仕事をしている。かかってきた電話のことまでは知る由もない。
女房がお客さんの応対の合間に受けた電話は、テレビ東京さんからだったという。目の前では、お客さんたちが並んで順番を待っている。そんなときに一瞬の合間にうっかり取りあげた電話だったのだ。
電話の向こうには、こちらの状況は見えない。まあ仕方ないけれど、コチラは必死だ。何しろ目の前ではお客さんが電話が終わるのを待っているんだから。
こういう内容だったという。番組で、美瑛のサイクリングを特集したいんです。そちらで電動自転車を借りて、周辺のガイドもお願いしたい。
電話を受けたほうは気が気ではない。目の前には申し込み書を書き終えたばかりのお客さんが電話が終わるのを待っている。その後ろには順番を待つお客さんの列がある。困った困った。
要件は手短に! しかし、相手にはどうしても伝わらなかったようだ。
仕方なく状況を伝える。ただいま店頭には大勢のお客様が順番をお待ちです。5分ほどしましたら落ち着きますから、かけ直していただけないでしょうか?
相手はとたんに不機嫌になったという。テレビ局ですよ?はぁ?一般ピープルが何を言ってるんですかぁ?みたいなかんじ。
す、すまないテレビ局様。
ところで、5分たっても1時間たっても2度とテレビ局様からの電話はなかった。
やっぱ、有頂天になって飛び付かなきゃいけなかったのかなぁ。仕事もお客さんも全部放り出して。
申し訳なかったです、テレビ東京様。 お盆終わりました。明日からは、暇ですからネ。
2009年8月7日(金) 北海道マニアも知らない逸品とは? 教えてやんない。な〜んてネ!冗談ですよ。
北海道のハッカ(ペパーミント)はかつて高い世界シェアを誇っていた。今では作付面積も減少したというが、どっこい健在だ。
ただ、有名とはいいがたい。ひっそりと栽培されている感がある。
ハッカから抽出したオイルは菓子の香り付けや香水などに使われることが多いが、なにしろこいつは天然成分なので肌にいい。
おまけに、虫をよせつけない。とくにブヨには効果絶大だ。
ペパーミント特有の冷んやりが、これまたいい。
外で作業するとき、ボクはこれをシュッとひと吹きする。
ひんやり、気持ちいいぞ。
いい香り。
これで汗臭くならない。
ところでみなさんは、虫よけスプレーとかを肌に直接シューシューやって不安にならないだろうか。 ほんとうに安全なんだろうか。肌荒れとか?アトピーとか?シミの原因とか?肌から吸収されて発がん物質とか? ボクはやっぱり、一応そういうことも考える。強力な虫よけであればあるほど、肌へのリスクも高いんじゃないだろうかという気がしている。
では、天然の、北海道のハッカならどうだろうか? もともと、道東の畑で栽培されている農作物だ。ハッカは食物なのだ。
北海道のハッカを肌にシューシューしたところで、安全にきまってる。
ブヨは寄ってこない。この香りを厭がって明らかに遠巻きになるし、思い切って接近してきたヤツもなかなかガブリエルしない。効果は抜群だ。
脱臭効果、いい香り。清涼感。言うことなし。 口内に直接シュッシュしてもいいという。 焼肉のあとにいいかも?
汗臭さが気になるときは脇の下にエイトフォーなどをシューシューするよりも、天然ペパーミントオイル、北海道の香りのほうがいいんじゃないか?
もちろん、原料は北見のハッカだ。 北見のハッカを蒸留してハッカ油(ペパーミントオイル)が抽出される。もちろんこれは、食べられる。
箱書きを読んでみた。なになに? 食品添加物 製造者 竃k見ハッカ通商
ドラッグストアで確か、800円くらいだったと思う。
北海道マニアを自負する旅人も多いだろうが、 これを、ご存知だっただろうか? いまだに、生キャラメルなんかを追いかけているのかい?
チッチッチッチ。
北海道には君たちの知らないスグレモノがまだまだたくさん眠っているのだ。
2009年8月3日(月) 北海道でキャンプしたらば、 貨客船に自転車を積んでもらった。1912年建造の英国製のこの蒸気船はいまでも現役で、この地域の物資の輸送に活躍している。 湖の対岸に渡ったボクは氷河地形の底の部分に広がったウォルターピークの広大な平原のなかを走りだした。平原は放牧地になっているようで、3時間に1回くらい、牧童の乗った4WDやピックアップトラックとすれ違う。そのたびすごい砂煙があがった。砂煙のなか牧童たちの大きな笑顔と真っ白な歯が見える。片腕をあげて大声で挨拶をかわすが、全身が砂塵まみれで口のなかにも容赦なく砂が飛び込んできた。けれどそのうち慣れてしまったけど。
彼らが走り去ったあとは、ふたたび静寂と氷河が遺していった高大なカール地形の草原と小川だけが残された。
火口壁のようなカールの外輪を登るのは骨が折れたが、山頂?からはサザンアルプスが一望できた。外輪を一気に下ると国立公園の標識があり、この先に氷河湖と、湖畔にはDOC(環境保全局)の指定野営場(テントを貼ることが許可された区域)があることが示されていた。
薄暗い南極ブナの森のなかを走ること20分、森のなかにコバルトブルーの湖がみえて、さらに2km先には指定野営場がみえた。野営場といってもキャンプ場ではなく、調理場もなければシャワーもない。バイオテクノロジーを用いたトイレがあるだけ。平坦な場所は草刈りされていてテント場のようだ。さっそくテントを貼る。
水はいくらでもある。目の前が湖だから、とても飲みきれない。 湖の水をすくって沸かし、パスタを茹でてケチャップをかけて食べた。それから燻製の肉を少し。チーズをひとかけら。紅茶にはチューブの練乳をひとひねり落とす。
素敵な野営場だと思ったのも束の間で、いよいよここからが本番だ。まずはブヨの襲来から始まる。ブヨは血を吸うハエで、ニュージーランドだけでなく北海道にも多い。いったん噛みつかれたら最後、1週間はボリボリボリと掻き続ける羽目になる。腕全体が腫れあがって熱をもつことも少なくない。ニュージーランドのブヨはサンドフライと呼ばれ、ブヨやヌカカの類の数種類を指すようだが、パワーは幾分北海道産には劣るが、数がすごい。数十匹が集団で襲いかかることも珍しくはない。
西陽が傾き、湖に夕刻のとばりが降りる。美しい時間だ。 そしてこんどは蚊の襲来が始まった。
こんなに美しい風景のなかにいるのに、ボクはテントのなかから出られずにいる。テントの生地には蚊やブヨがびっしり貼りついていて、ときおり蚊の注射針が差しこまれて生地を貫いてくる。それを内側からつまんでちょん切ったりしながら過ごしている。 アホな姿だ。かっこわるい。
夕焼けに染まる湖をみながらハーモニカでも奏でようと思っていたのに、そんな夢は無残に砕け散ったのだ。
小便に出るのもつらい。あっという間に蚊とブヨに全身を包囲されるので全力で走って逃げまわる。
ほんと、かっこわるいな。
北海道とニュージーランドは風景も自然環境も極めて似ている。蚊とブヨの襲来も、北海道と同じだ。
北海道のアウトドアもまた、蚊やブヨとの闘いなのだ。
今年の夏、北海道は雨が多い。いまもなお雨の季節が続いている。そして例年になくブヨや蚊の発生が多いように感じる。
美瑛町美馬牛。自宅の前でブヨに追いかけられながら、ニュージーランドのことを思い出していた。 自転車旅のボクは、いまは平凡な貸自転車屋さんだ。そういうところも面白い。
|